「第一に演技が上手いですね。映画会社やテレビ局が力を入れる作品の主演には、事務所は売り出したいけども、まだ演技慣れしていない俳優たちがキャスティングされることも多いです。
彼らを主演たらしめるには、実は二番手、三番手の“受け”の役者の演技力がもっとも重要となります。
そして、髙石さんは主役を立てる能力に長けているんです。また、表情が豊かで、特に『ベイビーわるきゅーれ』でたびたび披露してきた変顔は一級品(笑)。
マンガやアニメの実写化作品では、コミカルな演技をスベらずに成立させることが、作品の出来や原作ファンの評判を大きく左右するため、これは非常に重要な要素です。
コメディもヒロインも演じられるというのは、福田雄一監督作品常連の橋本環奈さんとも共通しています。演技の振り幅が大きいということですね」
また、演出家のB氏は高石の「読解力」を絶賛する。
「ト書き(台本の台詞以外の文章)が少なくても、脚本家の意図を正確に理解してくれるんです。キャラクターの把握能力が高く、“こちらが想定していたのと全然違う役作りをしてきた!”なんてことはありません。それは努力の賜物だと思います。
例えば『ベビわる』第1作目での彼女はガンアクション中心でしたが、今年の映画やドラマでは組み手もできるようになっています。作品を見てもらえれば一目瞭然ですが、“こんなに成長するとは…!”と驚くでしょう」
「いつか来るとは思っていたけど、想像以上に早かった」
演技力には定評のある髙石。エイベックスに所属していることで、「ゴリ押しでは?」というひねくれた見方もできてしまう……。しかし、実際はそんなこともなく、事務所は彼女をきちんとサポートしている。
「マネージャーが礼儀を重視しているそうで、特に挨拶を大事にしているようです。本人の元からの人柄もあると思いますが、俳優である前に人として謙虚であることをちゃんと伝えている。
そのうえで、彼女も役の大小にかかわらず腐ることもないため、“がんばります!”という姿勢に、業界人から好感度が高いのも納得です」(前出・B氏)
なによりも『髙石あかりファースト写真集 幻灯』(東京ニュース通信社)を発売するほど、ビジュアルもいい。ただ、前出のA氏によると「美人すぎる」ことは、時として不利になることもあるという。
「クールビューティー系の女優は“いつもは地味なのにメガネを外したら超美人”などの設定を作らなければ、その美貌が勝ってしまい、話が入ってきません。
しかし、髙石さんの場合はそういったギミックもいらないのです。“なんで美女がこんなことをしているの?”と感じさせることなく、隠のオーラをまとったり、オタクっぽいしゃべり方も、すべて演技でこなすからです」
それを21歳という若さで表現できているのが、評価される所以だろう。
「誰でも歳を重ねるごとに演技は上手くなりますが、10〜20代前半のうちに作り手たちが納得する演技力を持ち合わせている役者は正直、多くいません。そのため、20代中盤の女優に女子高生の役をお願いすることは多いです。
しかし、髙石さんはすでに高い表現力を持ち合わせているため、これまでさまざまな作品に呼ばれてきたのでしょう。そのため、今回彼女が朝ドラのヒロインに選ばれたことについても、関係者たちはみんな“いつか来るとは思っていたけど、想像以上に早かったね”と納得しきりです」(同前)
髙石が主演を務める『ばけばけ』は『怪談』で知られる日本研究家の小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻、小泉セツをモデルとしたオリジナルストーリーとなる。果たして、彼女は持ち前の演技力でどう化けるのだろうか。
取材・文/千駄木雄大