若者たちにとっては矛盾しないパレスチナ支援
コローサさんが演説の締めくくりで取り上げたのが、次の夏に行う合宿の紹介だ。団体の運動を活発化させるために、集中的に学習や議論を行う合宿の機会が重要なのは、政治的な信条を問わないようだ。
YDSAの夏合宿の名称は「Red Hot Summer」、直訳すれば、赤く暑い夏だ。以前の夏合宿のウェブサイトを閲覧すると、紫のベースの上に赤い鎌や赤い槌、それにバラなどを持った拳が突き上げられたデザインで、労働組合関係の集会を思わせるものだった。
コローサさんは、合宿で取り上げることが想定されるテーマとして、人工妊娠中絶の権利、卒業後の労働運動への関与などと共に、中東のパレスチナの解放を挙げた。
この集会が開かれていたのは2023年4月で、イスラエルとパレスチナをめぐる情勢が緊迫化する半年も前のことだ。パレスチナ情勢に世間の関心が大きく注がれていなかった時期に、すでにこうした問題提起をしていたことになる。
アメリカでは、ユダヤ系の政治・経済に対する影響力が大きく、伝統的にイスラエル支援の動きが目立つ。だからこそ、今のアメリカでは、若者たちによるパレスチナ支援の動きが以前よりも目立っていることが、ある意味驚きをもってメディアによって伝えられている。
2024年春には、アメリカ各地の大学で、イスラエルによるパレスチナのガザ地区への攻撃に抗議するデモが発生し、警察が出動する事態になった。しかし、政府や財閥といったいわば権力者と対峙し、新しいアメリカを作ろうという若者たちにとっては、パレスチナ支援は自然なことのようだ。