16歳の女子高生もライブに来てくれる 

――60歳まで音楽活動をしていると想像していましたか?

知久寿焼(以下、同) それは想定内ですね。死ぬまで何らかの形で音楽をやってるんじゃないかとは思ってたから。こんなに長生きするとは思ってなかったけど、この年まで歌うことを生業にできているのは本当にラッキーですよ。

――60歳で活動する上で大変なことはありますか?

やっぱり年を取ると体が衰えるんで、気持ちよく歌うために気をつけなきゃいけないことは増えてます。

前は始まる前からライブ中もずっとビールを飲んでたけど、今は本編が終わってアンコールのときに飲むくらい。歌のために本当に、本当に自重してます。ここ、強調させてください(笑)。

前歯について「20歳のころに酔っぱらって路上ででんぐり返しをしてたらアスファルトに顔をぶつけて欠けた(笑)。当初は被せものをしてたけど神経が死んでたから、15年後くらいに歯ごと抜けちゃった」
前歯について「20歳のころに酔っぱらって路上ででんぐり返しをしてたらアスファルトに顔をぶつけて欠けた(笑)。当初は被せものをしてたけど神経が死んでたから、15年後くらいに歯ごと抜けちゃった」
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――大のお酒好きですからね(笑)。今年は「還暦行脚」ということで、全国のライブハウス等を回っていますが、完売も少なくありません。人気は健在ですね。

僕が回るところがことごとく小さい会場だから、動員がものすごいってわけじゃないですよ。

尊敬する友部(正人)さんや原マスミさんみたいに、小さなところで懇意なお客さんに囲まれて歌うことを目指してたから、まぁそのとおりになってるのかな。

それにね、もう飽きちゃって来なくなる人がいる一方で、新しく来てくれる人もいてそれはうれしいね。

この前も江古田マーキーというライブハウスで高校生のとき以来44年ぶりにやらせてもらったんだけど、そこに16歳の男の子1人と女の子2人が別々で来てくれてたよ。あなたたちの年くらいのときに僕は歌い始めたんだよって話をしてさ。

知久氏のギターを制作する山崎ギター工房の山崎俊氏と。知久氏が小ぶりなギターを好むのは「一般的なギターって体の小さい東洋人向けのサイズじゃないと思うんですよ。それにこういう民族楽器的なビジュアルも好みだから」
知久氏のギターを制作する山崎ギター工房の山崎俊氏と。知久氏が小ぶりなギターを好むのは「一般的なギターって体の小さい東洋人向けのサイズじゃないと思うんですよ。それにこういう民族楽器的なビジュアルも好みだから」

――YouTubeなどで知久さんのことを知ったのでしょうか。

そうだね。あと親の影響で知ってくれることも多いみたい。