MGM社の海外での取り組みは
IR事業者による実施事項として、MGM社の責任あるゲーミングプログラムの日本版導入に触れた。この中身を日本MGMリゾーツ社長(当時)のジェイソン・ハイランド氏が出した『IRで日本が変わる』から、深掘りしてみよう。
MGM社では全米のすべての自社施設に「ゲーム・センス」というプログラムを導入しているとのこと。これは「プレーヤーを保護し、彼らが楽しくゲームが続けられるように、ギャンブル関連のリスクに関する教育と、各種の対応手段、情報、活動とを組み合わせ、責任あるゲーミングについてプレーヤーに提示するプログラム」だという。
具体的には「自分の予算を決め、それ以上はカジノにのめり込まないように楽しむ方法を提示したり、カジノの各ゲームの勝率などを明白にし、それを理解した上で責任を持ってプレーしてもらうといった内容」だ。
また、MGM社はネバダ大学ラスベガス校や他のグループに資金提供を行い、依存症に関する研究を後押ししている。「研究と教育の両方面からアプローチし、ゲーム・センスを通じて依存症についての公共教育や啓発活動も促進するというのがMGMのスタンス」。そして、ハイランド氏は依存症対策への意見をこうまとめている。
「科学的に実証されたギャンブル依存症対策が日本にも導入されれば、カジノ依存症が疑われる人に対してだけでなく、パチンコおよびスロットマシーン依存症が疑われる人に対しても効果を発揮し、依存症率が大幅に改善されるはずです。結果として、多くの人たちが多大な恩恵を受けることになると思います」
ただし、ギャンブルの引力は強く、依存症の闇は深い。ハイランド氏が言うような理想的な展開になるか否かは、大阪IRが開業してから数年後に明らかになる。