実写邦画の光明になるドラマの映画化
2023年には日曜劇場『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS系)のその後を描いた劇場版が、その年の上半期の実写興収1位となった。さらに同年の下半期も、月9ドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)の続編が劇場で公開され、興行収入48億円の大ヒットを記録。
近年アニメ映画が話題を独占する中で、実写邦画は大きく遅れを取っていたが、連ドラの映画化が光明をもたらしている。
「通常の実写邦画は公開の際に膨大な宣伝活動が必要になりますが、地上波連ドラの映画化の場合は、連ドラの放送自体が映画の宣伝になっているので、それほど頑張らなくても客が入ってくれる。それに、製作チームを新しく組む必要もなく、そのままドラマ班が担当すればいい。ビジネスモデルとして理にかなっているのです」
ほかにも、現在テレビ局では、視聴率が全体的に落ちてきたのをきっかけに、見逃し無料配信動画サービス『TVer』での再生回数を狙う番組も増えている。テレビ局内では、かつては「視聴率〇〇%!」などと廊下の至るところにかざってあったが、今では「TVer再生回数〇〇万回!」というポスターが飾られるなど、意識の変革がうかがえる。
とはいえ、ここまで手を打っても、Netflixに優秀な人材を次々に引き抜かれている状況は変わらない。厳しくなり続けるテレビのコンプライアンスに嫌気がさし、ネットに活躍の場を移すものも多くいるだろう。
突如、テレビの頭上に現れたNetflixという巨大な存在は、局員のモチベーションをあげるのか、下げてしまうのか、これからの動向に注目だ。
取材・文/集英社オンライン編集部