誰も知らなかった「本当の国家予算」

「国の予算というのは、御案内のとおり、一般会計予算と特別会計の予算、それから、最近では財政投融資計画というのも国会にかけられるようになりまして、その御三家といいますか、その〝3つの財布〞があるというふうに思います。

とくに、一般会計でもって通常議論されるわけでありますが、実は、一般会計というのは、カムフラージュというような性質のものでございまして、一般会計のうちの大部分、つまり、81兆なら81兆のうちの50兆以上は特別会計にすぐ回ってしまうわけですね。

特別会計の規模は、御案内のとおり、最近ではもう380兆というような規模になっているわけですね。そこで、〝3つの財布〞をそれぞれ行ったり来たりしておりますから、(中略)非常に複雑きわまりない構造になっておりますが、そういう中で、果たして、国の歳入歳出という面からいったら幾らになるか。

これは純計しなければなりません、これらの財布を。それがすなわち我が国の国家予算なんです。年間の国家予算なんです。それは、到底、80兆やそこらのものじゃありません。それを、私は、今からちょっと計算してみたいと思うわけであります。

そこで、申し上げましたように、一般会計は14年度81兆です。特別会計は382兆。これを純計いたしますと、248兆円でございます、行ったり来たりしておりますからね。

それで、さらにその中から内部で移転をするだけの会計の部分があるんですね。(中略)この部分約50兆円でありますから、これを除きますと、純粋の歳出は約200兆円であります。(中略)これはアメリカの連邦政府の予算にほぼ匹敵するというか、アメリカの連邦政府の予算よりちょっと多いぐらいの規模でございます」(図1参照)

これは石井さんが亡くなる4カ月前に行なった、2002年6月12日の衆議院財務金融委員会での質問の一部です。特殊法人の予算である、特別会計。石井さんは、それまで国の予算と思われていた「一般会計」を表向きのカムフラージュと見破り、誰もが見過ごしていた「特別会計」に目をつけて、純粋な歳出として200兆円を割り出し、「本当の国家予算」へと迫っていきます。

石井紘基『だれも知らない日本国の裏帳簿』(道出版、2002年)の図をもとに作成 書籍より
石井紘基『だれも知らない日本国の裏帳簿』(道出版、2002年)の図をもとに作成 書籍より