フィリピンでの日本人の扱いは? 

日本人学校・補習校などへの援助のほか、教育相談・情報提供等を実施する「公益財団法人 海外子女教育振興財団」の職員は「在外教育施設では、国や地域に合わせた安全対策が取られています」と話す。

では、各国の日本人学校や補習校では、どのような安全対策が取られているのだろうか。約2年前にフィリピンのマニラ日本人学校に勤務していた50代・男性教諭はこう語る。

「フィリピンは銃社会のため、学校の近隣で現地の方が銃殺された事件が起こったこともあります。フィリピンで生活していると、そのような事件をたびたび耳にしました。また、フィリピンでは子どもが人身売買の被害に遭うケースも多いため、生徒には子どもたちだけで外を出歩かないよう注意喚起していました。

学校には専用のIDカードを持っている人しか入れない決まりになっていました。校内は24時間体制で警備員が巡回していましたが、勤務中にスマホでゲームをしていたり、YouTubeを見ている警備員も多かったです。

夜間まで学校に残って仕事をしていた際に、警備員が居眠りしていたこともありました。部外者が警備員の目を盗んで校内に侵入することも、容易にできる環境だったと思います。ただ、フィリピンは学校だけでなく、ショッピングモールやスーパーマーケットなど多くの人が集まる施設には、必ずと言っていいほど警備員が配置されているのですが、だいたいどこへ行ってもみんな同じような勤務態度なので、『文化の違いもあるし、仕方ないのかなぁ』と思っていました」

(写真はイメージ)
(写真はイメージ)

男性教諭は現地で日本人をターゲットにしたヘイトや差別についてこう続けた。

「街を歩いていたら30代前半くらいの見知らぬフィリピン人男性にすれ違いざま、指で目尻を引っ張る“つり目(スラントアイ)ポーズ”をされたことがあります。

あと、タクシーをアプリで予約した際に、予定時間を大幅に過ぎても来なかったのでキャンセルしたら、そのドライバーからアプリのメッセージ機能で『国へ帰れ』とタガログ語で送られてきたこともあります」

この男性教諭によれば、フィリピンでは、日本人や中国人、韓国人をターゲットにしたスリなどの犯罪が圧倒的に多く、常に危機感を持って生活していたとのことだ。