ヒス嫁に疲れてセカパを探すも、マッチした女性に騙される

「セフレを探すため」と割り切るミユキさんとは対照的に、会社員のアオトさん(仮名・40歳)が登録した理由は大きく異なる。

「セカンドパートナーが欲しくて登録しました。妻はヒステリーで、家に居場所がなく、話を聞いてくれる女性が欲しかったんです」

しかし、半年続けても、デートの成果はゼロ。マッチングはしたが「夫と別れる気はないけど、お金だけ援助してほしい」という、お金目当ての女性ばかりだったらしい。金銭面の負担も大きいため、やめようと決意したのだが……。

「ある女性とマッチングをしました。彼女は僕にいいね!をくれて、顔写真を送ると『タイプです』と言ってくれました。今までは写真送信後に音信不通になる女性が多く、傷ついていたんですよね」

アオトさんは「写真を送ってレスポンスがないと悲しいので『ごめんなさい』の一言でいいから送ってください」と全員に断ってから送っていたらしい。しかし、その場では了解をしても、連絡が取れなくなる女性が多かったのだとか。

写真はイメージです 写真/Unsplash
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「彼女からは『LINEでやりとりしよう』と言われました。女性からLINEの提案をしてくるなんて珍しいな……と思いましたが、『わざわざアプリを開くのも手間だから』と言われて、教えました」

男性側はアプリを使うだけでお金がかかるため、LINEやカカオトークに誘導して、アプリを休会した後にもやり取りを続けるパターンが多い。しかし、女性は無料なので外部ツールに移行するメリットはなく、むしろ身バレのデメリットの方が強いはずだ。

「でもIDを教えると、彼女とは音信不通になりました。そして業者から大量のLINEがくるようになったんです……きっとIDが売られてしまったんでしょうね」

「安くビットコインを買える」と、申し込んだわけでもないのに、いきなり当選の連絡が来たときは信じてしまい、勤める会社の社長に給料の前借りをお願いしたそうだ。付き合いが長く、彼の事情を知っている社長から「すぐにIDを変えろ」と言われて目を覚まし、このときは被害に遭わずにすんだのだという。

今では別のアプリに移行を検討していると話すアオトさん。彼がセカンドパートナーに出会える日は、くるのだろうか……。

もちろん、すべての既婚者男性がプラトニックな恋愛相手を求めているわけではない。セフレを探すために過去に登録していた、経営者の男性もいた。

彼は「月額9800円? 安いですね。職場や地域よりリスクが少ないし」と豪語する
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「既婚者専用アプリは、つまらくなってやめました。セックスをするだけなら、若い子の方が楽だと気づいたんです。既婚者は重かったですね」とのこと。

目的によって、恋活アプリを使い分ける時代なのかもしれない。

――夫婦関係や結婚についての価値観が、変わりつつある。テクノロジーの発達により、職場や地域などのコミュニティに限定されず、アプリで異性と出会えるようになっている。

しかし、出会うきっかけがなんであろうが、そこからの先の進め方は従来の恋愛と同じはずだ。「アプリでマッチしたということは、身体を重ねる同意がえられたも同じ」という勘違いが、今回のような事件を起こしたのかもしれない。

既婚者たちはどう生きるか、それぞれの価値観が試されている。

出典元
※1 令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei19/dl/15_all.pdf
※2 令和3年 司法統計年報(家事編) 第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別裁判所
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/253/012253.pdf
※3 【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024」
https://www.jex-sh.jp/pdf/japan_sex_survey/sexsurvey2024.pdf


取材・文/綾部まと