オリジナル作品と原作つきの違い

フジテレビのような脚本コンクールは、民放キー局ではテレビ朝日も2000年から20年以上、「テレビ朝日新人シナリオ大賞」というコンテストを実施しているのみ。長年、フジとテレ朝だけが新人発掘を担っているような状況であった。しかし昨年、ついにTBSと日本テレビも脚本コンクールを始動させ、民放キー局すべてが脚本家コンテストをやりはじめることになった。

写真/Shutterstock
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脚本コンテストの狙いはやはり、原作に頼らない“オリジナル作品”を作ることで、民放各局が書き手を探している。

というのも、ここ数年、テレビのドラマ枠はどんどん増えており、2023年の秋時点で、ワンクールの連ドラ枠は39枠。20年前の倍ほどに膨らんでおり、もはや原作の供給が追い付いていないような状態なのだ。

「テレビ局では “人気”や“結果”が出やすそうな原作付きドラマが好まれる傾向にあるのではないでしょうか?」と語るのは、チャンネル登録者約4万人、ドラマ考察情報などを発信するYouTube「ごちそうさまです。エンタメ君 CHANNEL」を運営するすけまるさんだ。

「原作つきドラマはすでにファンが多数いて、さらに脚本の展開もある程度担保されていることから、局内で好まれやすいのでは? と思います。一方で、オリジナルドラマはそういった担保がないからこそ、チャレンジングな内容で勝負する傾向が強いとも感じます。もちろん、安定志向なオリジナルドラマも結構ありますし、チャレンジ要素の強い原作つきドラマもあるので、一概には言えないかもしれませんが……」(すけまるさん)

その代表例としてまさに挙げられるのが、今期の大ヒット作『海のはじまり』。いま、一番ノッている男性アイドルSnow Man・目黒蓮を“子持ちにする”というチャレンジングな設定。月9とは思えないほど、暗くて重く、苦しい展開。フジテレビ以外ならば、企画の段階でハネられてしまいそうな要素がてんこ盛りだ。

だがこれで勝負をした結果が大成功。今期ナンバーワンとまでの評価を得ることになった。成功の理由のひとつに、ストーリーが面白いことは言うまでもないが、もう一つの大きな要素として“考察”がある。