プーチンも望む〝トランプ大統領〞

ロシアのプーチン大統領はアメリカの大統領選挙について聞かれ、「トランプ氏よりも、予測可能で古いタイプの政治家であるバイデン氏の方が望ましい」と答えました。はたして本音なのでしょうか。

ロシアのプーチン大統領 写真/shutterstock
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2024年2月、トランプは、大統領在任中にNATO加盟国のある首脳に「軍事費用の足りない国がロシアの攻撃を受けたら、アメリカはその国を守るか」と問われ、「守らない。むしろやりたいようにやれと勧める。あなたは(国防費を)負担しなければならない」と伝えたと報道されました。

これはトランプ本人がサウスカロライナ州での選挙演説で述べたもので、実際にそういうやりとりがあったかどうかはわかりません。自分はNATOの首脳にもこんなに強気に言えるぞ、という支持者へのアピールだっただけかもしれません。

これに対して、バイデン大統領をはじめNATO加盟国の首脳からも批判の声が上がりました。そして「ロシアにやりたいようにやれと言った」という発言を聞いた多くのアメリカ人が、トランプはロシア寄りだと感じました。基本的にロシアに反感を抱いているアメリカ国民にそう思わせることは、選挙にとってはマイナスです。トランプは自慢のつもりで言ったのでしょうが、選挙を考えれば失言でした。

これを知ったプーチンは、バイデンに支持が流れることに焦りを覚え、「バイデンが望ましい」と答えてトランプの失言による影響を消そうとしたのです。プーチンにとっては、トランプが望ましいに決まっています。

プーチンが「バイデンの方が望ましい」と言ったのを聞いたトランプは、一瞬間を置いてから、ロシアにとってはバイデンより自分の方が脅威になると認めたのだ、と語ったそうです。その一瞬には、プーチンはバイデンより自分の方がいいはずなのに、と考えたに違いありません。