「暑すぎて学校のプール中止」という矛盾

記録的な暑さを連続して叩きだしていた7月にSNS上で大きな話題になったのは、「暑すぎて学校のプール中止」という言葉。

暑いからプールに入るのでは? と、一瞬矛盾にも感じてしまうが、昨今の学校では熱中症警戒アラートに基づいて、屋外での活動の有無を決めているため、あまりにも気温が高いと、屋外活動の一つであるプールの授業が中止になってしまうというのだ。

実はプールの中にいても、人は発汗して脱水するので、熱中症になるリスクがある。むしろ、水の中にいると自分が脱水症状であることに気づきにくいため、プールは危険度が高いとまで言われている。

写真はイメージ。写真/Shutterstock
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このように“暑すぎてプール中止”には相応の理由がしっかりあるのだが、ネット上では〈暑すぎて中止とかギャグかよ〉〈自分が子どもの頃は気温が低くて水温が上がらないからプール中止とかだったのに〉などと物議を醸すことになってしまった。

そして8月に入り、夏の全国高校野球大会が甲子園球場でスタートした。さっそく開会式では選手の一人が熱中症で車いすで運ばれたように、こちらも猛暑の影響もあり、長年の歴史の中でついに変革せざるを得なくなった。

今年から実施されたのは、午前と夕方に分けて試合を行う2部制の導入。狙いはもちろん、暑さのピークとなる日中の時間帯での試合を避けるためだ。しかし、それでも暑さ対策が不十分との指摘も相次ぎ、屋根付きのドーム球場での開催案や、北海道での開催案などがあがって、テレビやネットでも連日議論が行われた。

これまで100年位以上培ってきた高校野球の伝統を守りたいという人も一定数いるため、なかなか思い切った改革が行われない夏の甲子園。SNSでは〈伝統より命の方が大事〉〈伝統の名のもと高校球児をクソ暑い甲子園で虐待するな〉〈いつまで子どもを伝統に巻き込み続けるのか〉といった声が続出している。

さらに学校のプール、甲子園ときて、日本の夏の風物詩である「夏祭り」もまた、猛暑によって変革を強いられ始めている。