「まさかという思いでびっくりでした。もう買いません」

このAさんの経験について保健所関係者は「黄色ブドウ球菌は常温で増殖するので奥さんが食べてからご主人が食べるまでの3時間ほどの間に増殖して毒素が出た可能性もあるが、弁当が別々で、体調にも左右されるため、何とも判断はできないですね」と話す。

大変な目に遭ったAさん夫妻には、弁当購入の翌々日の7月26日になって伊勢定から電話が来たという。

「体調を確認する内容で、夫の症状と保健所に通報済みだと伝えると、『申し訳ございません。また連絡します』と返答がありました。その後はどうなっているのか分からないんです。

私としては弁当代の全額返金と賠償を望んでいます。百貨店のうなぎ屋の弁当でこんなことになり、まさかという思いでした。もう買いません」(Aさん)

こうした被害者の声を聞いた上で、京急百貨店と伊勢定に補償の範囲や内容をたずねると、いずれも被害者には「真摯に対応する」と強調したが、補償の方針は決まっておらず、いつ決まるかも見通せない、との説明が返って来た。

消費者の信頼を取り戻すためには、原因になった調理体制の実態を自ら明らかにし、被害を受けた人が納得できる措置を早く取るべきだろう。

京急百貨店(撮影/集英社オンライン)
京急百貨店(撮影/集英社オンライン)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班