学習塾や英会話教室から病院まで
アメリカでもっとも成功した教団系企業体となったトゥルー・ワールド・グループは、現在、「統一教会インターナショナル」(1977年設立)が所有する。
問題なのは、教団の反共運動やリトルエンジェルス芸術団などの文化活動、プロパガンダを行なうメディア企業、教団の脱税をめぐる訴訟費用などに統一教会インターナショナルが資金を提供していることだ。
さらに憂慮すべきは、こうした資金提供が、時には文鮮明機関のペーパーカンパニーやトンネル法人を経由して行なわれている可能性が高いことだ。
無数の組織や企業を抱える文鮮明機関を介した資金移動を、当局が捕捉するのは極めて困難なのである。
「無数のタコ足」を持ち、教団本体を覆い隠す本質は、日本の統一教会にもそっくりそのまま当てはまる。
日本の教団系企業をいくつか記す。
霊感商法の手法を使い、法外な価格で売りつける多宝塔や壺、高麗人参の濃縮液を輸入していた「ハッピーワールド」(旧「幸世商事」、旧「世界のしあわせ」)は、旅行業や貿易業、不動産賃貸業などを手掛け、2022年度の売上高は24億600万円。
同社の前身である幸世商事の設立は1971年、代表取締役に就任したのは後に「経済担当副会長」となる古田元男だ。1972年には、7億円余の小切手を携帯して韓国に持ち出したとして外為法違反で、同社の幹部たち2人が逮捕・起訴されている。
「一信ジャパン」(旧「一信石材」)は、霊感商法で販売する多宝塔や壺を輸入・販売していた。日本で販売をはじめた当初の70年代はじめは、デパートなどで工芸品として数万円で売っていたが、業績が芳しくなく、霊感商法で販売することを思いつく。
韓国で5000円の壺が400万〜500万円、原価60万円の多宝塔は2000万〜4000万円で販売された。
ほかにも、軽トラックで鮮魚を移動販売する「一心天助」、学習塾や英会話教室から病院まで、統一教会系企業の業種は広範に及ぶ。東京都練馬区には、教団信者が経営する学習塾が4つもあるし、国会議員秘書が知らずに通っている英会話教室もある。
霊感商法を行なう企業は別にして、行商で鮮魚を売ったり、学習塾や英会話教室を経営すること自体は、もちろん悪いことではないし違法でもない。