立候補当初は関係者の間では泡沫候補扱いだったのが…
7月7日に投開票が行われた東京都知事選挙は、291万票を獲得した小池百合子候補の圧勝に終わった。学歴詐称疑惑や神宮外苑再開発問題等、都知事選を前に反小池の嵐が吹き荒れていたにもかかわらず、である。
しかし、子育て支援政策等への支持は厚かったようで、知事が交代して廃止・縮小されてしまったらたまったものではない、という認識が現職支持につながったのだろう。
一方で、選挙では「改革」や「変える」といった主張やスローガンを前面に出して、支持の獲得やを狙う候補者は必ず出てくるし、程度の差こそあれ、ほとんどの候補者がそうであると言ってもいいだろう。
今回再選された小池候補も「東京大改革」を掲げ、変化や前進の意味を込めたであろう「もっと!」を個別の政策の見出しに付けている。ただ、小池候補の場合は、「変える」といっても現職なので、他の候補とはその趣旨が異なるが。
さて、今回の都知事選の候補者の中で、「何か変えてくれる」、「変えてくれそう」として期待や支持を集めたのが、今回165万票を得て2位につけた石丸伸二氏である。
広島県安芸高田市の前市長時代、市議会と何度も衝突したが、それを上手に切り取ったショート動画が人気を博し、メディアでも注目されるようになっていた。
市長については再選の見込みはないと考えたのか、不出馬を表明、そして東京都知事選への出馬となった。
そもそもなぜ東京都知事選なのか?と大いに疑問であったが、今回の都知事選が候補者56人と過去最多となり、かつ泡沫というより売名行為候補やビジネス候補と思しき候補者が多数いたことを考えると、その中の一人ぐらいだと思っていた。実際、立候補当初は関係者の間では泡沫候補扱いであった。
ところが、日を追うごとに支持を拡大していった。今回の都知事選は実質的には小池候補対蓮舫候補の戦いと見られていたが、なんとその蓮舫候補まで追い抜くに至った。
その背景にはSNSやYouTubeでの動画配信を上手に活用したことがあるとされるが、それらは他の候補も活用していたし、その上手下手はあるとしても、それだけでは理由になるまい。
やはり安芸高田市長時代からの動画、それもショート動画の視聴者、はっきり言えばファンが多数、都の内外(外と言っても近隣の地域)におり、彼らがSNS等での発信を盛り上げ、拡散していったこともあるのではないか。
この辺りの詳細な分析はネット、SNSの活用を専門にする方々にお任せするとして、筆者は実際の街頭活動に着目しながらその理由を考えたい。