立地特性と販売する商品にギャップが生じる

ヒロタは100周年を記念して「動物シュークリーム」を販売している。アニメや漫画のキャラクターのような可愛らしいものだ。しかしこれを銀座の旗艦店で販売するのは完全にミスマッチだろう。

銀座は一流のパティシエによる趣向を凝らした洋菓子から、三越に出店するような定番ブランドまで、数々の名菓子に彩られたエリアだ。そこに旗艦店を出店するのであれば、店舗限定の商品を投入するべきだろう。

役員体制が十分なのかどうかも疑問。社長の遠山秀德氏は元シダックスの役員を努めた人物だ。

取締役の伊佐山佳郎氏は生え抜きだが、すでに年齢は60歳を超えている。他の取締役2名は増資を引き受けた出資者であり、洋菓子店の経営に深く関わってきたようには見えない。

かつて隆盛を誇った「洋菓子のヒロタ」だが、現在の店舗数はわずか7だ。経営危機を早期に脱し、顧客と向き合うタイミングが訪れているように見える。

取材・文/不破聡 撮影/集英社オンライン編集部