月収100万円を稼いでいたことも……

「最近は仕入れにいく度に怖いですよ(笑)。利益に関してはまあ、家のローンがあるわけでもないので、『1日5000円稼げればいいや』という気持ちでやってますね。仕事をしていれば貯金は減っていかないし、孫になんか買ってあげることもできます。

さらに飲食店をやっているメリットとして、息子・娘家族にご飯を食べさせてあげることもできる。この前も孫がやってきたので、大きいトンカツを5枚あげました(笑)。そういうのが楽しいんですよ」

大村さんが目指すのは自分の理想とする立ち食いそば屋。営業時間は妻に手伝ってもらっているが、それでも日々、休む暇がないほど忙しく、原価率が高いので儲けはそれほどでない。トラック運転手をやっていた頃は、月に100万円以上稼いでいたが、そば屋は“売り上げ”だけとっても、月に100万円もとどかない。

厨房で調理をする大村さん
厨房で調理をする大村さん

なぜここまで大変な思いをしてまで、店を続けられるのだろうか。

「自分がやりたくてやったことですからね。あと店をもっていると、息子や娘家族に“場所”を提供することができます。店が休みの日は、自由に店を使ってもらい、そこで焼肉などバーベキューをしたりしてますね。

飲み物やアイスなどは自由に店のものを食べさせてあげています。家族で焼肉にいくとお金がかかるけど、ここなら安上がりになるでしょ? 後片付けも楽です。最近は私の弟や、弟の息子家族なんかも来たりします。私が元気なうちは、ここにみんなが集まってくれる。それが1つのモチベーションになっていますね」

今年は、妻とのバスツアー旅行や、息子家族との旅行など、楽しみが盛りだくさんだという大村さん。都内最安クラスのそば屋の裏には、都内最高クラスの家族の温かみがあった。

大村さんと「立喰そば 大むら」
大村さんと「立喰そば 大むら」
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取材・文・撮影/集英社オンライン編集部