無責任な政府の対応
厚労省が行なうアンケートも、業界を先細りさせる要因の一つになっているという。
「年に1回、厚労省が一般技工士を対象にアンケートを取り、『おたくの技工料金はいくらですか?』と聞いてくるんです。厚労省はそれに合わせて保険点数を下げるので、ダンピングをしていると、どんどん市場の相場が下がってしまう。
その仕組みを理解している人は、アンケートに安い料金を書かないんだけど、なかには正直に書いちゃう人もいるんです。
それに仕事を取るにしても、利益率や労働時間を計算したうえでちゃんとした料金を請求すればいいんですが……やっぱり仕事がほしいので、無理な金額で受注してしまうケースもある。休みもなく、朝まで仕事をしている人もいますよ。
私らがこの仕事を始めた40〜50年前には、『蔵が建つ』と言われていましたが、今ではそれがウソのようです」(前同)
人工知能の開発やデジタル革命の進行で、産業構造や就労状況も激しい変革を迫られて久しい。しかし、生命や健康に直結する医療や保健衛生の分野では、価格競争に左右されず、安全性が優先されるべきではないか。少なくとも、議論を尽くす必要はある、♯2では業界のトップの意見を聞いてみた。
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取材・文/集英社オンラインニュース班