「声が上がったことは情報漏洩というよりは内部通報だと思います」
情報を「ハンター」に内部告発した曽於警察署の巡査長について県警は、少なくとも書類送検直後の昨年6月と今年3月の2回、告訴、告発事件の処理経過を管理する「告訴・告発事件処理簿一覧表」などを漏洩したとして地方公務員法違反容疑で逮捕している。
この巡査長と本田前生安部長が連携を取っていたことをうかがわせる形跡は今のところなく、二人は別々に行動したとみられる。これについて中願寺代表はこう語気を強める。
「巡査長は強制性交事件を眠らせちゃいけないということで動いた。その過程で『ハンター』がずっと県警を追及してきたから、それを見た本田前部長もうちを信用して、『ハンター』に記事を書いている北海道のジャーナリストに資料を送ったのでしょう。本田前部長の行動は公益通報以外の何物でもないと思っています」
また異例のガサを行なった鹿児島県警に対し「強制性交事件を追う中でうちがたまたま処理簿一覧表を入手したことで被疑者扱いされる覚えはまったくありません。これから反撃に移る予定です。記事で勝負をかけます」と予告した。
性被害の隠蔽に危機感を持ち、国会で取り上げたという塩村議員は「声を上げた人を守らなければ、声を上げる人がいなくなると思って動いた」と振り返る。
そして強制性交事件を発端に捜査情報が外部にもたらされ、波紋が拡大していることについて「警察官の不祥事を身内で抑え込むようなことがあれば、地元の人は警察にものを言えなくなる。これは深刻な問題です。(今回)声が上がったことは情報漏洩というよりは内部通報だと思います。(不正があったのなら)隠蔽しようとしたほうが問われるべき責任があるでしょう。悪いことをしたらバレるという仕組みに是正をする上で、今はいいチャンスかもしれません」と指摘した。
本田前部長は県民の信頼に背いた悪徳警官なのか、勇気ある告発者なのか。警察や検察の今後の判断には市民から厳しい目が引き続き注がれそうだ。
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取材・文/集英社オンラインニュース班