発言の機会が6倍に増え、売上げが130%に伸びた

この二番手会議での発言をすべて記録してまとめたのが、下記の図です。会話のボリュームが大きい話題は、円が大きくなっています。1回目の会議では、発話のほとんどが、司会による進行でした。しかし、2回目の会議では、参加者の発話がグンと増えました。

会議で1ヵ月の振り返りを話さなければいけないことがわかっているので、それまでの間に取り組んだことをまとめたり、課題の洗い出しをしたり、次の打ち手を考えたりと、準備するわけです。

大きな変化が起こったのは、3回目の会議でした。

「自分の店舗はこうだけど、○○店はどうですか?」といった別の店舗への質問が、1回目はゼロ、2回目は5.7%だったのに、3回目には、12.7%にまで増えたのです。

自店の取り組みに関する報告だけでなく、自店でうまくいかなかったことについて、能動的に他店に聞いてみる。他店との関わりが増え、副店長同士で会話のキャッチボールが始まりました。

こうしたやりとりを重ねたことで、会議における発言機会が6倍に増え、130%の売上げ増につながったのです。

自分がいなくても機能するチームにするには…部下の発言機会が6倍、商品売上げ130%増につながった“二番手”会議_4
すべての画像を見る

この二番手同士の会議では、「彼ら自身で数字を見て、行動を振り返り、他のスタッフにその結果を伝え、そして他店の二番手たちと次なる施策を話し合う」という自律的に動かなければ機能しない機会を創出したわけです。

発言の機会が6倍に増え、売上げが130%に伸びた。これは、リーダーである店長が奔走して作った結果ではなく、会議の制度を作ったことで、部下が自走して出した結果です。これと同様のことは、二番手以降のスタッフにも応用できるはずです。

今回、PB商品の売上げ増加というミッションを課しましたが、ポジションに応じたミッションを課した会議を設けることで、自走する部下、自走する組織は作れるのではないでしょうか。


図/書籍『中間管理職無理ゲー完全攻略法』より
写真/shutterstock

中間管理職無理ゲー完全攻略法 (CCCメディアハウス)
中谷一郎
中間管理職無理ゲー完全攻略法 (CCCメディアハウス)
2024/3/4
1,870円(税込)
184ページ
ISBN: 978-4484222530

ストレスフルな中間管理職業務。長時間労働も根性論も通用しない時代に彼らを救う、発想の転換法と工夫の凝らし方を伝えます!

今、中間管理職が辛い。いくらあっても足りない時間、いくらやっても終わらない業務、入れれば抜けていくチームメンバー。労働人口が減っていき、労働基準法により、より短時間成果を出すことを求められるようになるこれからの時代、もう「長時間労働」にも「マンパワー」にも頼れない。彼らが取り組んでいるのは、クリア困難な「無理ゲー」だ。

本書では、マクドナルド、ドトールコーヒー、松屋、31アイスクリーム、スギ薬局、ゴルフパートナーなど、名だたるチェーンストアの中間管理職員の動作分析を通じて、収益・生産性改善に寄与してきたオペレーション調査会社の社長である著者が、これら無理ゲーの攻略のためのTipsを、Q&A形式でわかりやすく紹介する。中間管理職の無理ゲー攻略の鍵は、思い込みや企業・業界の慣例に捉われずに、客観的・定量的な着眼点を身につけること。そして誰もが等しくゲームクリアできるような仕組みを作ることにある。

amazon