「雑誌って、これからどうなるんだろう?」
現在刊行中の約6000誌については、閲覧室と開架書庫に最新1年分の号が並べられていて、誰でも自由に読むことができる。
それより古い号やすでに休廃刊している雑誌でも、目録で所蔵が確認できれば、カウンターで申請すると奥の書庫から出してもらえる。
もともと雑誌が好きで編集者という職業を選んだ僕にとって、この図書館は夢のような場所。
ここで浴びるように多くの雑誌に触れていると、雑誌さえあれば金もいらなきゃ女もいらぬ……と、無条件に雑誌愛を暴走させることができて大変気分がいい。
ところで僕は雑誌が好きなゆえ、自分はもう10年、いや、できればもう20年早く生まれればよかったと思うことがある。
ご存知のように日本の雑誌業界はこの30年間で大きく変動し、今や著しく衰退状況となっているからだ。
雑誌の全盛期は、1990年代中頃。
その後インターネットの普及で情報収集の手段が多様化すると、その売り上げに陰りが見え始め、2010年代にスマホが普及して以降は、市場縮小に歯止めが効かなくなっている。
かつてはメジャー誌の主戦場であったコンビニの雑誌売り場も、もはやお荷物扱いになりつつあり、雑誌業界はお先ブラックホールだとさえ思うことがある。
ただ、一般誌市場は縮小し続けている一方、一部の専門誌や高品質なコンテンツを提供する雑誌は一定の読者を維持しており、厳しいながらも生きる道があるのではないかとも思える。
「雑誌って、これからどうなるんだろう?」
そんなことをもう一度考えるきっかけになるかもしれないと思い、都立多摩図書館を訪ねてみた。