2年間毎日20時間、8000個のネタ作り

――2008年、2009年はR-1優勝に向けたネタ作りにものすごく努力したと聞きます。

2008年と2009年は毎日20時間ネタ作りしてました。その2年にやったネタは1個1個のネタが分離されていて、内容をいくらでも変えられたので、7000個か8000個ぐらい作りました。

――すごい数ですね。

そのころ、僕はネタ作りのために勝手に吉本の本社に住んでいました。会議室の机とかで寝起きして。当時は付き合っていた彼女と同棲していたんですけど、やっぱり家だと気が散ってネタ作りができなかったので。だから、会議室で寝て、そのままテレビ局へ行ってシャワーだけ借りる生活を毎日繰り返していました。

「会議室使うから出ろ」ってなった時は廊下とか、屋外で寝たこともありました。そんな生活をしていたら頚椎症になってしまい、僕、首の上から4つ目の骨がないんですよ。コンビだったら相方が止めてくれますけど、ピン芸人は止めてくれる人がいないので果てがないです。

60歳になっても舞台に立てるようネタを磨く…R-1 2009王者・中山功太がネタと向き合う1年「R-1優勝して食えていないのって僕と三浦マイルドだけなんで…」_2


――優勝した時は「これで売れる!」って思いましたか?

R-1優勝自体が目標だったので、その後のことを考えてなかったですね。「R-1には夢がない」って言われてますが、M -1にしてもR-1にしても「優勝したらテレビに出て、お笑いタレントとして成功できる」というのは考えが甘過ぎると思います。名前出さないですけど、優勝しても平場弱いからあんまりテレビに出ていない人いるじゃないですか。僕にしても、優勝したのに売れていないのは実力不足なので、仕事がないのは自分が悪いと思っています。
 

――ときどき「自分のせいでR-1に夢がなくなった」と発言されています。冗談めかしているとは思いますが、あの発言の真意ってどうなんですか?

冗談ではありますけど、リアルに言うと、僕と三浦マイルドのせいだと思ってます。同じチャンピオンのあべこうじさんとか、佐久間一行さんとかは、ちゃんとお客さんも入るし仕事もあるんですよ。R-1優勝して食えていないのって僕と三浦マイルドだけなんです。
 

――ご時勢もありますが、中山さんやマイルドさんの「毒」が強いお笑いが評価されないのは寂しいです。

あべさんや佐久間さんって、毒っ気が少なく感じるかもしれないですけど、ちゃんと批評性があるんですよ。ネタに批評性がない人って絶対ダメですけど、佐久間さんのネタはポップに見えて「ここがどう考えてもおかしい」とか「これは実はダサい」みたいな批評がしっかりある。僕とマイルドは批評し過ぎなんです。そんなん誰も求めてないんですよ。