20年近く看護師をして思うこと…

こうした腰への負担でギックリ腰などを発症した際、看護師の中には責任感から、強い痛み止めを医師に処方してもらい、それを飲みながらコルセットをして働く人までいるという。また、ギックリ腰は労災対象になりにくいというが、看護師も例外ではないそうだ。

「自分が病気になって誰かのお世話になることや寝たきりになることを想像しながら生活している人なんてほとんどいないでしょう。でも、人はいつどうなるかわかりません。よく言われていることですが、肥満の方は病気のリスクが高まります。20年近く看護師をしていて、やはり肥満の方の糖尿病や高血圧、そして心筋梗塞、脳卒中になられている方をたくさん見てきました。そうなったときに後悔先に立たずになると思います。『太っていても誰の迷惑にもなってないんだからいいじゃないか』と言う方もいます。でもそれは、“現時点”ではなんです。

今、看護も介護業界も人手不足で、人がたくさん辞めていってる状態です。若いときに腰を傷めて、腰痛とお付き合いしながら働いてる看護師や介護士、それが原因で辞めていってしまうスタッフなども見てきました。私も若いときに椎間板ヘルニアを発症しましたが、やはり体重が重い方が入院してきたときには、再発することもあります。看護師たちの体を守るためにも、体重コントロールはしてほしいと思っています」

肥満の人相手の、手術や検査、処置は、普通体型の人に比べて困難。ふだんならスムーズにいく動作も、いろいろなリスクが高まってしまう。過去に150kgの方の胸骨圧迫(心臓マッサージ)をした際は、脂肪が厚く、難しかったようだ。

「肥満によって、助かる命が助からなくなることもあります。ですが、きっとこの文章を見て、『痩せよう』と思ってくださる方はまだ多くないと思います。ですので、今後は、体位変換をするロボットや体を持ち上げる介護ロボットなどの活躍を心から期待します」
 

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取材・文/集英社オンライン編集部