日本人の1日の塩分摂取量はWHO推奨値の2倍!
―2024年度より高血圧の基準が「収縮期160/拡張期100」に変更されました。高血圧は、どんなことが原因になっているのでしょうか?
濱先生 まず、高血圧になる原因として挙げられるのが食塩の摂りすぎです。食塩を摂りすぎると、体は血液中のナトリウム濃度を元に戻そうとして、体内に水分を溜めこみます。これによって血液量が増え、血管への圧力が高まり、高血圧になるのです。
赤石先生 高血圧によって、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞、腎臓障害などさまざまな病気を引き起こすリスクが高くなります。
―大きな病気以外のリスクは?
濱先生 大きな病気以外でも、女性が気になるむくみも塩分の摂りすぎによるものです。むくみは塩分の摂りすぎで血液や体液の濃度が濃くなり、体が水分を欲してため込むことでおこります。
他には、塩分が多い食事は食欲がアップしがちなので、いつもよりたくさんの量を食べてしまい、肥満にも繋がります。また、塩辛いものはよく噛まずに飲み込む傾向があって、消化不良により栄養が体に行き渡らなくなると、集中力の低下やメンタル不調の原因になることもあるでしょう。
赤石先生 なので、やはり減塩することは健康のためにはなるのですが、なかなか難しいのが現状ですね。とくに日本人は和食特有の食習慣や地理的なことによって、塩分摂取量が多くなりやすい傾向にあります。日本は海に囲まれた島国なので塩は容易に手に入りますし、味付けには昔から塩分の多い味噌や醤油を使います。欧米だと、ハーブを使ったり、素材を煮込んでスープを作ったりなどしますから、日本ほど塩は使わないのです。
世界的に見ても、2010年の英国の医学雑誌に掲載された論文によると、日本の食塩摂取量の平均が12.4gで、タイ、韓国、シンガポールに続く第4位です。
気候が暑い国が多いというのもありますが、だいたいアジア圏は塩分を摂りすぎる傾向ですね。
―現在の日本の1日の食塩摂取量はどれくらいですか?
濱先生 日本人の1日の食塩摂取量は現在平均で約10g。WHO推奨水準が1日あたり5g未満ですので2倍以上です。さすがに、いきなり半分にするのは難しいこともあり、令和14年度までに7gを目標としています。
赤石先生 ちなみに3g は小さじ1/2杯に相当。また1つまみで約1g ですので、3つまみ相当を減らすことができれば達成できますが、たかが3g、されど3g。塩分はパンやうどんなどの加工食品にも含まれているので、意識せず何気なく摂っている塩分までカットするのは容易ではないですよね。
また、コンビニや外食が多い人はどうしても塩分の摂取量が多くなります。なので、自宅で調理するときに減塩を意識してもらえればと思います。