昔の相場師の小話

もちろん、デイトレーダーの中には高値圏で売り買いを頻繁に繰り返して儲ける「つわもの」もいるにはいるのでしょう。でも、高値近辺ではいつ暴落するかわからないため、スクリーンに張り付いてなければなりません。

矢印の局面で売り買いをする投資家はかなりの時間とエネルギーを使うことになるでしょう。逆に、暴落した後に買ったバリュー投資家(後述)はしばらくほったらかしでポジションを寝かせとけばよいので楽です。

昔、野村證券では「野村週報」という冊子を客と従業員に配っていました。薄っぺらな冊子ですが、私はそれを読むのを楽しみにしていました。

「顧客にどれだけ損をさせ」「何人部下を辞めさせたか」を自慢するかつての野村證券の営業マン…新人研修の担当部長は「法令違反を犯して表営業できなくなった社員」_3
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その冊子には昔の相場師についての小話が載っていました。今でも覚えていますが、こんな話が載っていて面白かったですねえ。

 昔、北浜(大阪における兜町みたいなところ)で連戦連勝の大相場師がいた。勝ちの秘密を探ろうと、ある男がその大相場師をつけていくと毎日ある神社に行って願をかけていることを発見。その話が広まってその神社は大盛況。その大相場師は200回相場で勝負してほぼ全勝、2回しか負けなかった。しかし、その2回で破産した。

この相場師は、いつも矢印の局面で売り買いを繰り返し、勝った回数だけは稼いでいたんでしょうねえ。でも、大暴落で逃げそこないすべてを失ったのでしょう(そうでなければショートで大損したかです。)。

こういう馬鹿なことをしなければ、株式投資で損をする確率は高くはありません。ちなみに、信用取引はリスクが高いですよ。つまりお金を借りて株を買うと投資資金がゼロになる確率は高まります。


清原氏写真・イラスト/書籍『我が投資術』より
その他写真/shutterstock

わが市場 市場は誰に微笑むか (講談社)
清原達郎
わが市場 市場は誰に微笑むか (講談社)
2024/3/1
1,980円(税込)
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ISBN: 978-4065350355

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■株式投資に才能など存在しない。「自分の失敗からどれだけ学んだか」だけだ。

《目次》
■第1章 市場はあなたを見捨てない
間違っても損をするとは限らない 正しかったら儲かるとは限らない/投資のアイデア=株価に織り込まれていないアイデア/すべての情報にはバイアスがかかっている/情報収集に金をかける必要はなし/投資家は相場に勝てるのか/パッシブ運用vs.アクティブ運用 ほか

■第2章 ヘッジファンドへの長い道のり
野村證券入社──抱いた「強烈な違和感」/損をする個人投資家のパターン/北尾吉孝氏に救われる/軍曹/「腐れ玉」の行方/「ロング・ショート運用」の夜明け ほか

■第3章 「割安小型成長株」の破壊力
実は役に立たない「PBR」/キャッシュニュートラルPERの問題点/「1段階モデル」は低PER株に有効/金利が上がると、高PER株は不利?/「イメージの悪い業界」こそチャンス/バリュエーションの梯子を上る/資金100万円で「割安小型成長株」投資/「成長株投資」と「バリュー投資」の違い/マザーズ(グロース)は「最悪の市場」/「トレンドフォロワー」と「コントラリアン」 ほか

■第4章 地獄の沙汰は持株次第─25年間の軌跡
K1ファンドの運用スタイルの変遷/ファンドのパフォーマンス ほか

■第5章 REIT─落ちてくるナイフを2度つかむ
まさかのIPO「20億円分」当選/リーマンショックとREIT暴落

■第6章 実践のハイライト─ロング

■第7章 実践のハイライト─ショート・ペアートレード
個人投資家には個別銘柄のショートは勧められない/ショートの分散投資はおろかな行為/日経225指数の闇/ようやくわかったショートの勝ち方 ほか

■第8章 やってはいけない投資
ESG投資はナンセンス/未公開株は決して買ってはいけない ほか

■第9章これからの日本株市場
10年以内に起きる破滅的リスク/今後の日本株を取り巻く環境「8」の予想/縮小を続ける内需/日本株ショーテッジ時代の到来 ほか

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