3日で作られたマスク在庫アプリ「マスクマップ」

新型コロナ対策で一躍有名となったのが、デジタル担当大臣のオードリー・タン(唐鳳)でしょう。新型コロナの流行後、マスクの品切れが予想されたことで、すべてのマスクを政府が買い取って輸出を禁止します。

そこからわずか3日後、彼女はマスクの販売店と在庫がリアルタイムで分かる「マスクマップ」というアプリを公開したのです。

「マスクマップ」公開の早さは世界的に話題に 写真/Shutterstock.
「マスクマップ」公開の早さは世界的に話題に 写真/Shutterstock.

 中学を中退してドイツへ留学、19歳のときにシリコンバレーで起業をしたタンは、馬英九政権時代に政府のアドバイザーを務め、2016年の蔡英文政権下で行政院政務委員に登用されました。

彼女自身もプログラマーで、台湾にいる民間のシステムエンジニアやホワイトハッカーたちとのネットワークを持っています。このマスクマップも、もとはある市井のプログラマーがWeb上にアップしていたものでした。それをマスク規制が始まった日に見た彼女は、マスクの流通データをオープンデータにしたのです。

そのうえで、このデータを使って民間のホワイトハッカーたちがマップ作りを行います。わずか3日でアプリが完成できたのは、自分の理想や理念、アイデアを、いろんな人を通して実現していくオーガナイザーとしてのスキルに長けているからでしょう。

私はこうした台湾のスピーディな対応を見て、走り出したら止まらない、という台湾人のノリの良い国民性が、いい方向に出たと感じました。いいアイデアが出たら即実行、ダメならほかを考える──喩えは悪いかもしれませんが、ゲーム感覚で楽しむようにコロナ防止策を立てていったような印象を持たずにはいられませんでした。