これ以上分断を生まないための新たな制度化・ルール化を
子ども一人を大学卒業の22歳まで育てるための費用は、およそ3000万円以上といわれている。“経済的な余裕がない”という理由から、子どもを持つことをあきらめたり、2人目をあきらめたりする家庭は少なくない。
「そのため家族だけでなく、社会全体が協力して持続可能な社会を作る必要があります。子育ては経験してみないとその大変さを体感することは難しいですが、子育てがいかに大変であるか、そして将来自分の世代を助けてくれる存在であるかの理解を広める必要があるでしょう。公共交通機関や大規模小売店、公共施設などの運営者側からも積極的に利用者に対し情報発信をしていくべきだとも思います」
ただ、「子育てをしているのだから何でも許されるとか、子どもができない人に対して配慮がない態度をとる人がいることはまた別の問題です」とゆな先生は指摘する。
特にやはりネックとなるのが、冒頭で記述したような、子を持つ親が急に会社を休まなければならなくなった場合だ。
「大企業であれば人が多くいて、たとえ一人欠けても仕事が回っていくことがありますが、中小企業では難しいものです。経営側がなんとかして人の手配をすべきではありますが、難しいならば仕事を負担した割合に対して賞与を変えるなど、増えた負担に対してきちんと評価をされるルール化をすべきだと考えます」
穴埋めを急遽しなければならなくなった社員に対して、企業側がフォローすることで、“子持ち様”への批判的な感情が抑えられることは期待できる。また、そもそも急な早退や欠席を未然に防ぐための制度の整備も必要だ。
「例えば保育園の開園時間が一般的な朝7時半から19時までとなると、仕事の始業時刻や急な残業に合わせることは困難で、どうしても同僚に無理なお願いをしてしまうことに繋がります。また、子どもの急な病変などは大人と違いずっと付き添いが必要で、病時保育は対応していない保育園も多く、家庭に対応スタッフを派遣するサービスも非常に高額です。経営体力が小さい保育園がすべてに対応することは難しく、これらに対しては公的な補助を手厚くしていくべきでしょう」