昼の仕事だけでは給料が足りない子は現地のアジア人キャバクラに

ユイさんはその後アルバイトを探すことは諦め、観光に徹したそうだ。

「思ったように稼げないし、仕事もすぐには見つからず、貯めたお金は減っていく一方でした。このまま帰るのはもったいないと思い、せっかくオーストラリアに来たのだから楽しもうと、今は様々な州を観光しています」

ユイさんのように貯金に余裕があれば途中で観光を楽しむ余裕もあるだろう。しかし金銭的に厳しい状態で生活するワーホリ女性たちのなかにはキャバクラなどの“夜の仕事”を始めるケースも少なくないという。

「私の周りの知り合いは夜職を始めた子が多かったです。なかなか希望の職に就けない子や、昼の仕事だけでは給料が足りない子は、現地のアジア人キャバクラで働いていました。キャバクラは飲食店などと違って、比較的面接にも受かりやすく、時給も5000円から6000円と高いのでお金に困った子はそこに目を付けがちでした。

しかし実際働いた子に話を聞くと、指名されなければ帰らせられるだけで1円たりとも給料はもらえないらしく、非常に厳しい世界だと感じました」

海で友人とマリンスポーツを楽しむユイさん(右)(撮影/ユイ氏)
海で友人とマリンスポーツを楽しむユイさん(右)(撮影/ユイ氏)
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日本の一般的なキャバクラの場合、待機時間も時給が発生することが多いが、オーストラリアのキャバクラは基本的に客に指名され、卓についた瞬間からしか給料は発生しないとされている。

「そして一番“闇”を感じたのが、客に“お持ち帰り”されることがよくあるという話です。オーストラリアのキャバクラでメインとなっている客層は富裕層の中国人だそうで、よく『ホームパーティーしよう』と誘われて、客とキャバ嬢が複数人でアフター(店外で客とキャバ嬢が過ごすこと)に行くらしいです。
そこでは性行為を強要されることも多いみたいで、私の知人はなんと避妊せずにやられてしまったといいます。その知人はすぐに薬局でアフターピルを購入して飲んだと言っていましたが、キャバクラではそういうことは日常茶飯事のようです」

最近では日本人の売春行為が世界的に問題になっているが、ユイさんの知人のケースのように最初はそんなつもりじゃなかったのに、お金に困った結果、いつの間にか売春に陥ってしまったというのはワーホリの闇深い一面ともいえる。

最後にユイさんはワーホリの経験についてこうまとめてくれた。

「ワーホリに行ってよかったこともあります。海外の知り合いが増えたし、さまざまな人と出会って、様々な国の価値観に触れることで視野も広くなりました。1人で海外生活することで自信に繋がることもたくさんあります。

しかし働くことに関しては甘くはなかったです。実際に体験してみて、巷で言われているワーホリ成功談は本当に運に恵まれたごく一部の人たちの話だと痛感しました。ワーホリに行くなら、本気で長期滞在したいと考えている人、あるいは海外でも通用するようなスキルを持った人でないと夢のワーホリライフは厳しいのではないかと思います」

取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio