仕事が途中でも終了時刻で強制終了

次々と到着するトラック。そのドライバーたちが倉庫のあちこちから重そうな荷物を手作業で集めてどんどんとトラックに積み、その過程でバイトは内容に間違いがないかを確認していく。

ドライバーは相当な力仕事だ。一方のバイトは伝票を確認するだけなので力作業はないが、必死にこなさないと荷積みのペースから遅れてしまう。

4月からドライバーの勤務時間を抑制する法的規制が強化されたため、ドライバーは荷積みの時間を少しでも短縮したいと考えているようで、伝票チェックが遅れると足を引っ張ることになるという緊張感が張り詰めている。

重作業のドライバーを見かねたが、手伝うことはNG。「力作業はありません」との労働条件の厳守が徹底されているようだ。

バイトとドライバーが1対1で組んで、荷積みと伝票確認の息を合わせなければならないので、私語を交わすこともまったくない代わりに、ドライバーは少しのミスで注意や叱責をしたりする余裕もない。ここも、前出の日本料理店のように「猫の手も借りたい」状況で毎日スキマバイトが集められる状況は同じだ。

仕事が終了するとその日のうちに報酬を受け取れる
仕事が終了するとその日のうちに報酬を受け取れる
すべての画像を見る

必死で伝票を追っているうちに終業時間を迎えると、経理の職員が「はいここまで。仕事やめてください」と打ち切りに来た。まだ伝票の残りはあったが、仕事はそこで終わり。ドライバーは「お疲れさまでした」とねぎらいの言葉をかけてくれて伝票を記者から手に取り、それまで二人でやっていた作業をその後は一人でやることになる。

効率はどうしても落ちるため、バイトがいる時間に少しでも作業を進めたいと考えるのは当然のことに思えてくる。

この職場も自己紹介をすることなく、社員やほかのスキマバイトの人と名前で呼び合う機会は最後までなかった。だが、私語を交わす余裕もないほど忙しいため、そうした人との関係をいちいち考えることもない。短い時間に一気に全力で走り切る短距離走を1本、走り終えたような気分になっただけだった。

※「集英社オンライン」では、単発アルバイトのトラブルについて、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(Twitter)
@shuon_news  

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班