知的障害と「境界知能」はどう違う?
次に、境界知能について説明します。境界知能は「軽度知的障害よりも少しIQが高い状態」ですが、知的障害とはどう違うのか、ここでもう少しくわしく解説しましょう。
境界知能とは、知的機能が「知的発達症」と「正常知能」の境界域にある状態です。
すでに述べた通り、現在は知的機能をIQだけで判断することはありませんが、目安としては、知的機能の標準偏差(平均値との差、1標準偏差は15)が2低い(30低い)場合を知的障害、1低い(15低い)場合を境界知能と考えることが一般的です。
偏差IQでは平均100、1標準偏差が15なので、おおよその目安として70未満が知的障害、70以上85未満が境界知能に該当すると考えられています。この基準から言えば、偏差IQ85以上は正常知能ということになります。
標準偏差というのは、統計的な考え方です。理論的には、標準偏差が2低いグループは全体の2.3%となります。標準偏差が1低いグループは全体の13.6%です。これは知能検査に限らず、標準偏差を測るすべての検査に共通します。標準偏差を測る検査は、結果がその割合で正規分布するようにできているのです。
ですから、偏差IQを基準として考えた場合には、理論値としては、人口のおよそ14%の人が境界知能に該当することになります。