現場はバブル真っ盛りにできた集合住宅

事件の現場となったのは、JR上尾駅から徒歩25分ほどの距離にある、集合住宅の一室。社会部記者はこう解説する。

「4月11日の午後5時半ごろ、雅道容疑者から『母親の意識がない』と119番通報があり、救急隊員が駆けつけると、母親がトイレで倒れており、その場で死亡が確認された。ほぼ同時刻に妻の牧子容疑者は近くの上尾署に出頭し、事件は発覚。母親の皮膚にはあざのような変色があった」

亡くなった母親は、雅道容疑者と牧子容疑者の3人で暮らしていた。

「ここはバブル真っ盛りの1986年にできた団地(新興住宅)でよ、上尾なら東京へ楽に通勤できるって理由で、当時は若いファミリー層がバンバン移り住んできた。でも今はこの有り様よ。建物の老朽化は進んでるし、当時のファミリーも年老いたからみんな引っ越したり、老人ホームに移ったね。

だから今住んでいるのは年寄りばかりだし、ここら辺は工場も近いから、ここ10年くらいの間に中国やベトナム、タイといった外国人従業員たちの社宅として使われることも増えた。あとはNPO団体が借り上げるという形で、生活保護受給者も多いね。朝になると、作業着を着た外国人が自転車を漕いで出勤していくのも見慣れた光景になったよ」(近隣住民)

山崎一家が暮らしていた集合住宅(撮影/集英社オンライン)
山崎一家が暮らしていた集合住宅(撮影/集英社オンライン)
すべての画像を見る

間取りの多くは3DKで家賃は平均5万円代。そんな集合住宅で事件は起きた。当日の様子を、容疑者の階下に住む女性(60代)はこう語る。

「夕方の6時前くらいかな? 団地の前に救急車が止まったのですが、ここは高齢者や体の悪い方も多いので、救急車が来ることは日常茶飯事って感じで『まあいつものことだろう』と思っていました。

ところがその後、向かいの棟に住む知り合いから『お前ん家の前、パトカーもいるぞ』と連絡があり異変に気づいたという感じで、外に出たらパトカーが2台に捜査車両みたいなバンの他、消防車まで停まっていたので『え、いったい何が起きたの?』と驚きましたね。その後も警察車両があわただしく行ったり来たりしていたのを覚えています」

出入りする捜査員(撮影/集英社オンライン)
出入りする捜査員(撮影/集英社オンライン)

別の近隣住民の女性 (50代)は、遺体が運ばれる様子を目撃したという。

「夜の10時ごろに、ご遺体らしきものが運ばれる様子をちょうど見てしまいました。青いビニールシートで包まれて、その上からガムテープでぐるぐる巻きにされていました。それを捜査員らしき2人で運んでいました」