「コピー品を売り始めたのは90年代後半くらいから」

ディアロ容疑者は自身が店長を務める「WEST BOY71」で、販売目的でステューシーの偽物のパーカー3点を所持していた疑い。

付近では昨年秋から今年にかけて、修学旅行などで訪れた中高生が、強引な手法で店内に誘い込まれ、偽ブランド品を売りつけられたという被害が頻出。相談を受けた警視庁が内偵捜査を続けていた。

そこで取材班は悪質偽ブランド業者摘発を受け、竹下通りを歩いてみた。どうやらこの手の話は恒例行事のようで、近くのブランドショップの女性従業員はこう肩をすくめた。

竹下通り(撮影/集英社オンライン)
竹下通り(撮影/集英社オンライン)
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「27日の14時半ごろに警察官が10人くらいで来て、店長らしき人が手錠をかけられて連れていかれました。その後、2トンくらいのトラックが来て、大量のダンボール箱を持ち込んで組み立てて、お店の服を詰めてトラックで運び出していましたよ。かなりの量を運んでいたみたいで、作業は2時間弱もかかってましたね。

逮捕された人は別の人でしたけど、一昨年の2月頃にも同じようなことで摘発があったんですよ。その時に摘発にあったお店は数ヶ月間閉めてて、隣りの同じようなお店も警戒したのか閉めてました。店名まで変えてるかはわからないですけど、数ヶ月後には普通に営業してたんで、今回も変わらないんじゃないですかね。実際、竹下通りの周りには同じようなお店がたくさんありますし、他店が摘発されたところで、何食わぬ顔で営業してますからね」

この女性従業員の記憶は正確だった。2022年2月24日、警視庁生活経済課は偽ブランド品を陳列していたとして商法法違反容疑(販売目的所持)で摘発、経営者を逮捕したと発表している。このときの店名は「Good Luck HIP HOP」で、逮捕されたのはナイジェリア国籍の40代の男で、「グッチ」「バレンシアガ」「バーバリー」「ルイ・ヴィトン」などの偽ブランド品約400点を押収していた。

摘発された店舗付近(撮影/集英社オンライン)
摘発された店舗付近(撮影/集英社オンライン)

「WEST BOY71」の近くのブランドショップで働く男性は、この街における偽ブランド品販売の“歴史”としきたりをサラッと語ってくれた。

「うちのお店は30年以上原宿で商売してるんですけど、外国人たちが客引きしてコピー品を売り始めたのは90年代後半くらいからですね。やりくちはずっと変わらないですよ。観光客や学生に声かけてお店に連れてって圧かけて買わせるっていう、押し売りみたいなもんです。

営業時間は細かく決まってなさそうですけど、10時過ぎから19時前くらいまで客引きしてますね。あいつらはフレンドリーにニコニコしながら接してきて、お金の両替を頼んできたり、クレジットカードの機械の使い方を聞いてきたりするんですけど、変な揉め事もしたくないんで応じたことはあります。ただ、観光客にお金をだいぶ使わせるから、うちの店に寄る頃には手持ちがほとんどない、なんてこともよくあるので迷惑で仕方ない」