商売の鉄則は「食券機を置かず、必ずレジでお客さんと会話」
「ぬちまーす」はマイナスイオンのまま結晶化された伝説の塩で、ミネラル分が豊富。これを使ってミネラルたっぷりの「ぬち麺」を作るプロジェクトが始まった。
原産地・沖縄を訪れ、徹底的に「ぬちまーす」を研究し、早坂さんは麺にシルク=絹を練りこんだ極上の「シルク麺」を完成させた。その後、早坂さんの影響で「飯田商店」「とみ田」「蔦」などの名店が「ぬちまーす」を使うようになり、一気に話題となる。
「また食べたくなるけどよそでは食べられない完全オリジナルな一杯を目指して作りました。金華豚を使ったとびきり美味しいチャーシューや、ここでしか食べられない気仙沼産の生ワカメなど、具材に引き寄せる一杯を構築しました」
早坂さんはこだわりの押しつけではなく、商売のあるべき姿を大事にしている。来てくれるお客さんとのふれあいこそ、商売。
「五福星」では「いかがでした?」と聞くのはNG。必ず「お腹いっぱいになりました?」と聞くようにしている。するとお客さんは「お腹いっぱいになりました」と言って、また来てくれるのだ。食券機を置かず、必ずレジでお客さんと会話をする。これこそが商売の鉄則だ。
2011年には東日本大震災で宮城県は被災。その頃の恩を忘れず、現在早坂さんは能登地震の被災地に定期的に炊き出しに行っている。
「一番被害のひどい珠洲市などのエリアは、未だカーテンで仕切られた中でアルファ米をずっと食べています。
あったかいおいしいものを出してみんなで食べるだけで楽しいもの。東日本大震災のときは石川からもたくさん支援に来てくれました。絆返しだと思って動いています」(早坂さん)
店の前の道路拡張で来年には閉店が決まっている「五福星」。次なる場所は県内の温泉地に決めている。ここで奥さんのてる子さんと二人で新しい一歩を踏み出す。
取材・撮影・文/井手隊長