サークル問題

東大は学生の課外活動が盛んである。授業の外で学生たちが集まり、スポーツや文化活動に打ち込む。スポーツは野球、サッカー、テニス、柔道、相撲などの主要なものから、馬術やヨットなど、都心にあるキャンパスからは容易に想像できないものまである。

文化系も演劇、将棋、オーケストラ、ピアノからレゴや襖張りまで、およそ考えつくものはなんでもある。新入生を迎える駒場キャンパスは4月になるとこれらの課外活動を宣伝する看板でいっぱいになる。上級生がキャンパス中でビラを配り、とても賑やかになる。

部活動やサークル活動は学生にとって、1年生の「クラス」と同じく重要な学生生活の単位となる。ここで卒業後も関係の続く生涯の友人に出会うことも少なくない。

東大に蔓延する女性差別の伝統“東大女子お断り”サークルの実態…優位なジェンダー秩序を維持するための「他大女子への”バカいじり”」_1
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序章でも触れたが、これらの課外活動で、一部、男女のメンバーがいるのにもかかわらず、女性は他大学の学生に限定して東大の女性の入会を認めないサークルがあることが、近年、新聞報道などで話題になっている。

この問題をテーマにして2020年、東京大学教育学部に卒業論文を提出した藤田優は、東大女性を排除するサークルを運営する東大の男性学生を厳しく批判している。

彼女の調査によると、そのようなサークルでは「食事作りやお酌、練習後に行く飲食店のドアの開閉に至るまで、ご飯にまつわるものはすべて女子の役割、といった『男尊女卑ルール』」がある一方、「東大男子だけが主要な幹部になれる『男子中心運営』」が行われていた。また、「即席のクイズ合戦で東大男子から他大女子への『バカいじり』」が慣行となっていた*1。

藤田はこれらのサークルに所属する「東大男子」は「『東大女子お断り』を明確に差別だと認識せず、伝統を無批判に踏襲」していることを指摘し、この「閉鎖構造は、東大女子を入部させないことにより男子にとって優位なジェンダー秩序を維持するのに寄与している」と論じる。

「自分達より偏差値が低く、かつ華やかで自分達のサポートに回ってくれる(引用者註:他大学の)女子は、東大男子にとって都合の良い存在」なのである。さらにそのようなサークルに入っていない男性の学生についても、「機会の不平等を問題視する声はあったが、積極的に否定」する声は少なく、「『東大女子お断り』という差別問題に対する東大男子の鈍さ」がうかがえると分析している*2。