ギャンブル好きが大負けしてもチンコロしない理由

暴対法や暴排条例などにより、暴力団が常設的に賭場を開帳することはなくなった。だが違法カジノ店は日本国内、どこにでも存在する。

「大阪や新宿にはまだ、かなりの店がある」と話すのは、ある暴力団傘下の組長W氏だ。暴力団のカジノといえば、六代目山口組の二次団体で大阪に本部を置く三代目一心会だ。2015年には大阪南のネット賭博店が摘発され、関係先として一心会が家宅捜索を受けた。

「でも今は暴力団組織が表立って経営するカジノはほとんどないだろう。やっているのはディーラー学校を出たディーラーかカジノ屋で、ヤクザは問題が起きたときのケツモチぐらいだな。カジノは客と揉めごとが多くてウンザリでね。みんな誰かにやらせている。1店舗から10万円ぐらいもらって、何件か掛け持ちすればいいシノギになる」(W氏)

※写真はイメージ
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違法カジノ店にはW氏でも簡単に入れないらしい。

「以前は遊ぶ金さえ持って行けばどこでも入れてくれたが、今は一見さんはお断り。紹介がないと入れてくれない。紹介がない客は負けるとすぐに“チンコロ”するからな」

チンコロとは警察にタレこむことだ。

「紹介で来るような客は根っからのカジノ好きだ。韓国やシンガポール、ラスベガスなどでその味を知り、そのワクワクや快感が忘れられず店に来る。大負けしても、こういう客はチンコロしない。なぜかわかるか? 100万円負けてもカジノで100万円を取り戻したいから、またカジノにやって来るんだ。そして、そこでダメでも次の店に行く」

警察にチンコロした情報はすぐに拡散される。そうすれば、その客はどこのカジノにも二度と出入りできなくなるから、絶対に口を割らない。そうやってギャンブル依存症になっていくのだという。