ぼくのクリニックの収益は?
開業医に話を戻すと、開業医も行列のできるクリニックから、つぶれかけのクリニックまで、かなり収益に差があるはずだ。
うちのクリニックはどうだろうか。前に述べたが千葉市には六つの区があり、ぼくのクリニックは若葉区。患者の多さは、小児に限れば、おそらく若葉区で2番目くらいではないだろうか(もしかしたら、自惚れかもしれないが)。
これまで最も患者が多かった年は、1万8470人の来院があった。現在はちょっと落ち着いていて、1万6000人くらいである。でもこれではちょっとピンとこないだろう。
2023年1月のうちのクリニックの収支をこっそり紹介しよう。
保険診療と予防接種・健診の医業収益が785万円。
ここに経費がかかる。
材料費・人件費・家賃・修繕費・消耗品・光熱費・事務費などなどが、合計で、295万円。1章で書いたように、借入金・リース代の返却はすでに済んでいる。ちなみに事務費で最もかかるのは、レーザープリンターのトナーである。クリニックではものすごい数の文書を印刷する。患者家族への配布資料とか、紹介状とか、挙げていけばキリがない。約1万円のトナーを毎月2台のペースで購入している。
さて、医業収益から経費を引き算すれば、ぼくの収入は、490万円となる。これを12倍すればぼくの年収は6000万円弱になるが、そうはいかない。そもそもこれほどの高収益の月はめったにないし、年に2回のボーナス月には人件費がドカンと跳ね上がる。
夏には感染症が減るので、患者も減る。おまけに夏季休暇も取る。冷蔵庫も壊れるし、自動ドアも壊れるし、エアコンから水が漏れる。いつも何かにお金が出ていく。ちなみに2022年の10月には電子カルテを入れ替えたため、300万円以上支払った。2023年の11月にはエアコンと現像機が壊れて、買い替えのために200万円以上を支払った。
そうすると、ぼくの年収は、厚労省の資料にあった開業医の平均値よりちょっと高い程度だ。