ついに新装開店! 早くも大ピンチが!?
東京・東中野の銭湯、松本湯は昭和11年(1936)創業の老舗。昭和63年(1988)に2代目がサウナを併設したビル(マンション)型の銭湯に改築したが、以来30余年が経過。配管などの劣化と、緩やかにお客が減り続ける現状に、創業以来2度目の大リニューアルを決意したという3代目店主・松本元伸さん。
“勝負手“に選んだのは、「マンガ サ道」のドラマ化が決定するなど、再ブームの兆しも見え始めていたサウナの拡充。数年にわたってコツコツと全国のサウナ施設を巡っては徹底的に研究を重ね、同時に知名度を上げるために「熱波」や「テントサウナ」などさまざまなイベントを企画しては発信。コアなサウナ愛好家の中で松本湯の名は少しずつ広まっていった。そんな松本さんの姿を見て、一緒に知恵を絞ったり、汗をかいてくる“仲間”が現れる。
(→前回記事「東京・東中野、最強の銭湯サウナ「松本湯」はいかにして爆誕したか」)
満を持して、2021年の2月から改装工事に着手。クラウドファンディングにより大改装したことをアピールするという“念押し”も敢行しつつ、ついに8月、リニューアルオープンの日を迎えるが、そこで「想像もしなかったアクシデント(松本さん・談)」が起こった。
店主だけが把握していなかった!? シン・松本湯のポテンシャル
「今だから笑い話にできるんだけど、想像していた以上に…いや、その数倍ものお客さんが来ちゃったんで。接客の準備ができていなかったんですよ」(松本さん。以下同)
それまでの松本湯は、いわゆる家族経営。客を迎えるフロントは、松本さんご夫婦と、松本さんのお母さまの3人、時折シフトで入ってくれるアルバイトスタッフで回せていたそう。
「リニューアルしても、それでいけるだろうって思ってたんだけど、それが大間違いだったんです(笑)。間も無く店を開けようと思って表を見たら、見たことがないような行列が出来ていて。“うわ、ヤバイぞ”って」(松本さん)
「とてもじゃないけど、対応できない。真っ青になりました」と笑う松本さん。あまりにも早過ぎる大ピンチだったが、でも、ここで奇跡!?が。テントサウナやクラウドファンディングを手伝ってくれた面々=リニューアルに向けて一緒に動いてくれた“仲間”が、店に現れてくれたのだ。
「蒸しゴリくんをはじめとする4人の男子が“開店祝いで手伝います”って、顔を出してくれたんです。“そんなの大丈夫だよ、来なくていいよ”って言ったのに来てくれていて。本当に助かりましたね(笑)。
でも、その4人がいても接客は全然間に合わなかった。全員が朝から夜までずっと立ちっぱなしの動きっぱなし。初日なんて、店を閉めた瞬間に全員が崩れ落ちるように床に倒れ込みましたから(笑)」(松本さん)
蒸しゴリくんに当時を振り返ってもらうと「僕は分かってましたよ」との答えが。「一緒にいろいろと準備する中で、これは相当なものが出来てしまうと確信していたんで。絶対に対応できなくなるほど、サウナ目当てのお客さんが来るだろうなって。だから来なくていいって言われたけど(笑)、当日も待機していたんです」。
リニューアルオープンしたのは8月1日の日曜日。その状況が平日も含めて3日間続き、松本さんから「よかったら、このまま手伝ってくれないか。採用させてください」とお願いした。