食後の眠気は病気のサイン? バランスがよいとされる日本人の食事が「糖質過多でタンパク質不足」である落とし穴
ランチの後、しばらくすると「眠くなる」「だるくなる」。あるいは十分に食べたはずなのにすぐに小腹が減る、集中力が途切れる、イライラする――。北里大学北里研究所病院副院長・糖尿病センター長の山田悟医師は、こうした体調不良を「糖質疲労」と名づけている。今、日本人の間で増えているこの症状の正体とは。山田氏の新著『糖質疲労』より一部抜粋、再構成してお届けする。
糖質疲労#1
日本人は世界的に見て「たんぱく質不足・糖質過多」
米国では1970年頃の(卵とバターを控えましょうなどとTIME誌[45]に言われる前の)炭水化物の平均的な摂取比率が40%であったそうです。
日本人が、栄養のいい食事として刷り込まれ、妄信しがちな「炭水化物50〜65%、脂質20〜30%、たんぱく質13〜20%」という比率は、世界的に見て糖質過多であり、このことが日本人での糖質疲労を招いている原因の1つと言えるかもしれません。
ちなみに、現在、日本人(成人)は平均的に1食あたり90〜100g、1日あたり270〜300gもの糖質をとっています。糖質かぶせランチの習慣のある人は、もっと摂取量が多いかもしれません。
米国の糖尿病学会が定めた糖質制限食の定義は1日、130g以下です。ロカボのルールも同じで、糖質摂取量の上限を1日、130gと設定しています。
現在の日本人の平均摂取量はその倍くらいということになります。
糖質疲労の症状が出ているなら、「糖質過多かもしれない」という視点で、自分が摂取している糖質量を気にかけることが、症状改善のはじめの一歩になるでしょう。
ちなみに、国民健康・栄養調査のデータでは、飽食の時代と言われて久しいにもかかわらず、日本人のたんぱく質の摂取量は少なく、2000年頃から低下し、1950年代の水準まで下がっているとされています。
もちろん、かつての飢餓の時代には過剰申告、いまの飽食の時代にあっては過少申告の可能性はありますが、もっと、日本人がたんぱく質(や脂質)の摂取を心掛けるべきであることは間違いないでしょう。
文/山田悟
写真/shutterstock
#2 「食の欧米化が日本人の生活習慣病を増やした」は本当か? この謎を解く沖縄の「平均寿命」と「脂質摂取比率」の意外な関係
2024/3/7
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