サルの脳みそを飲んでがんを治そうとしたすごい人
――対談のオファーは自分でやったんですか?
人選も含めて、すべて自分でやりました。基本的に昔からの付き合いがあって、一般の人にわかるような、著名な人をメインに選んでいったらこの15人だった。やっぱり、末期がんはパワーワードなので、みんな快く受けてくれましたね(笑)。
ジブリの鈴木(敏夫)さんは、「やんないとバチ当たるからやるよ」って、しぶしぶ受けてくれた感じだったけど。でも、あの対談めちゃくちゃ面白かったよね。徳間書店の初代社長が、がんの治療の一環でサルの脳みそ飲んでた話とか、本当に(ハンニバル・)レクター博士みたいだよね。こんなこと、みんな知らないでしょ。
――衝撃的でした(笑)
あとは、中原昌也の病気はみんな知ってても、どんな状況かまではわからないでしょ?
宇川(直宏)くんと鼎談したんだけど、中原くんは病室からZoomで参加したのね。文字校正してもらおうとゲラをメールしたら、付き添いの人から「両目が見えなくなってきてて、読み聞かせるので少し時間をください」って返事がきたんだよ。失明はしないと思うんだけど、見える日と見えない日があるみたい。
俺も末期がんでいつ死ぬかわかんないけど、中原くんもきつい状況だと思うよ。糖尿病のすごい悪化したやつで、1年ぐらい入院してんだもん。俺、1か月でも入院厳しかったから。この鼎談で、いろいろと現状をわかってよかったところもあったな。
――Kダブシャインさんとの昔話も面白かったですね。
そうそう。中学のときからだから長いよね。Kダブと知らずに付き合ってて、社会人なってから「お前がKダブシャインか」って知ったくらい。
やっぱりみんなと話していて、俺も忘れてることがほとんどだし、相手も忘れてることもあって。そういう意味では昔話の埋め合わせができて、楽しかったな。
#2へつづく
#2 末期がんの叶井俊太郎が過ごしたハチャメチャな青春…「DJ沢田亜矢子にDJアジャ・コング、絶対ありえねだろうっていうことが、東京で日々ひっそりと繰り広げられてた」
取材・文/森野広明 撮影/井上たろう