トウモロコシからバラのような棘が生えてきた

ゲノム編集や遺伝子組み換えの危険性については、山田氏がプロデュースして撮影されたドキュメンタリー映画『食の安全を守る人々』でも触れている。

「40年前、遺伝子組み換えの研究をやっていた方が、除虫菊の遺伝子をトウモロコシに入れる実験をしたところ、トウモロコシからバラのような棘が生えてきて驚いたそうです。それにインドでは遺伝子組み換えの綿の種や農薬、化学肥料などの購入費用で借金を作ったり、健康被害などに遭った方が20万人以上自殺しています。

かつては遺伝子組み換えの農産物で世界の飢餓を救うと言っていましたが、FAO(国連食糧農業機関)の統計でも結局、人類を飢餓から救っているのは昔ながらのその土地にあった在来種が中心ですよね。だからやるべきはゲノム編集とか遺伝子組み換えとか昆虫食とかっていう話ではないんですよ」 

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山田氏の指摘どおり、日本で昆虫食が「ブーム」になることはそう簡単ではなかったようだ。積極的にメディア発信していた「クリケットファーム」もいつの間にか巷の話題から消えていった。「クリケットファーム」に取材を試みようと電話をしてみたが、すでに番号は使われていなかった。

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取材・文 集英社オンラインニュース班