「セクハラ」「パワハラ」も必ずしも悪ではなかった?
本作はミュージカルを挟むのも特徴のひとつだが、第2話のミュージカルシーンでは現代社会が推進する「働き方改革」について、小川市郎が歌と踊りとともに疑問を投げかける一幕も。これには共感する視聴者が続出。40代の女性も言う。
「リゲインのCMの『24時間、戦えますか』とまでは言わないけど、昨今の若い子がきっちり定時であがるのにはモヤりますね。
働き方改革でいえば、私が妊娠中のときにみんなが気を遣って早くあがらせてくれてたのですが、繁忙期は結局、家で仕事の続きをやるハメになってかえって大変だった記憶があります。私は職場に残って作業したほうがよかったのに…」
また、働き方改革の弊害を訴えるのは50代男性だ。
「会社から一方的な深夜残業禁止令が出たことで業務が圧迫され、フロア全体に余裕がなくなり、みんなギスギスしていると部下から相談を受けますよ。
僕らが若いころは早く出世したいから競い合って残業してました。あくまで自主的。制度化された働き方じゃなくて、個人の自由裁量に任されていた時代が懐かしいですね」
今日び“昭和のおっさん”たちを縮こませるワードに「セクハラ」「パワハラ」がある。しかし、昭和時代は、それが必ずしも“悪”とは限らなかったというのは50代の公務員男性。
「今は女性社員に対して『彼氏いるの?』って聞くだけでもセクハラになりますよね。でもそれくらい聞けないと社内恋愛にも発展しづらいじゃないですか。我々の世代に社内恋愛が多かったのは、そういう質問が許されていたからという側面もあるんじゃないですか」
60代で管理職をしている男性も、自身が20代のころを思い出してこう嘆く。
「令和の今はパワハラを気にして職場で言いたいことも言えない時代ですけど、若いころはなんでも思ったことを口に出していた気がします。営業時代に企画書の内容をめぐって、同僚とつかみ合いのケンカになったこともありますが、それもお互い仕事に対して熱意があったから。
そのあと一緒に飲みに行けばすぐに仲直りしてたし、今と違って遺恨の残らないサッパリした時代だったと思います」
近年は文字どおり“煙たがられる”存在となったタバコと喫煙者。作中でも昭和から令和にタイムスリップしてきた小川市郎がおもむろにバスの車内でタバコを吸い始め、同乗者からひんしゅくを買うシーンが描かれたが、そうした光景は昭和の日常風景ともいえるものだった。
「今、考えると病院の待合室や学校の職員室でも吸えたのがすごいですよね。職場でのタバコ休憩で同僚と仕事以外の話もいろいろできるから、仲も深まりやすかったと感じます」(60代・営業職男性)
また、第2話ではムッチ先輩(磯村勇斗)と向坂キヨシ(坂元愛登)がタイマンした後に仲良く肩を組むシーンも見られたが、元ヤンキーだった50代男性は、「タイマン張ったらダチなんですよ」と話す。
「中学のころは“天下一武道会”と称してみんなでトーナメントを作ってタイマン張って、誰がオモテ番で誰がウラ番かなんて決めてましたよ。もちろん憎くて殴るわけじゃないから、それも遊びの一種みたいな感じでやってました。ドラマはそういう意味では『あったあった』なんて言いながら見られて楽しいですね」