立憲の相乗りは珍しくない
京都市長選の話に戻すと、松井氏の推薦には自民党、公明党、国民民主党に加えて立憲も名を連らねており、「立憲民主党が福山氏を推薦していれば勝てた」という声はSNSで散見された。なぜ与党候補者に立憲は相乗りしたのか。
「大阪府では、維新を倒すために自民と立憲が手を組むことは珍しくなく、京都でも共産を倒すために同様のケースは昔から頻繁に見られています。特に京都3区の泉健太代表は“反共”を前に打ち出すことで地元の支持を得ており、福山氏を共産と一緒に推薦することは考えられません。
ただ、仮に立憲が福山氏を推薦していた場合でも、票数を減らしていた可能性が高い。京都は共産の人気が根強い地域でもあり、“反共意識が強い立憲の推薦を受けた候補者”となれば共産党支持者の票を失うことになるからです」
ある意味、“いつも通り”の立ち回りを見せた立憲ではあるが、「こういった事情を知らない人にとっては、今回の立憲の動きにガッカリした人が多いのは事実。なんにせよ、誰も推薦しないことが最善だったと思います」と話した。
政治経済の関心が高まることの弊害
前橋市と京都市の選挙結果から、今現在の国民心理をどのように分析しているのか。
「与党に逆風が吹いていることは間違いありませんが、あまり怖いものにはなっていません。というのも、今現在政治に対する関心は高まっているからです。日本人はとにかく権力に弱いため、一般的に政治経済が注目されればされるほど、偉そうな人が当選しやすくなる。
つまりは自民が票を集めやすくなります。もちろん、自民に『NO』を突きつける有権者も増えていますが、それ以上に『なんとなく権力を持っているから』という理由で自民に投票する人も多いです」
さらには、2022年の参議院選挙で当選した“ガーシー”こと東谷義和氏が、ふだんは選挙に行かない層を取り込んだことで当選したことにも言及する。
「結果的に東谷氏は国民のために何か政治活動をしましたか。していないですよね。政治経済を理解していない人は少なくなく、そういう人たちが投票に向かうことを歓迎していいのか悩ましいところです」と困り顔を見せた。
ちなみに前橋市長選の投票率は、4年前の前回選挙から3.77ポイント低い39.9%。一方、京都市長選は前回より0.96ポイント高い41.67%だった。ちだい氏の指摘を鑑みると、政治の関心と自民党の強さにはある程度の相関があるように感じられる。