配置転換打診もパート社員の7割が退職

一方で、配置転換の打診を受け入れたパート社員も新たな火種に…。ベース店で働くヤマト正社員はこう証言する。

「DM便からクール便や宅急便の仕分け業務に配置転換されたパートさんもいますが、運送業界では1~2月は閑散期。荷物の量に対して、パート社員が多すぎるという状況になっています。もっと他に人が足りない場所はあるというのに、本社はいったい何を考えているのか……」

前述したように、配置転換を受け入れずに退職したパート社員は約3150人で、全体のおよそ7割にあたる。これほどの人数があえて退職したのはなぜか。ヤマト正社員が続ける。

「ウチのベース店でも『今後もどういう風に扱われるかわからない』とか『もう信用できない』と愚痴をこぼすパートさんはいましたよ。シングルマザーで親の入院費を工面していたパートさんも、『これからお金のやりくりは大変になるけど、もうヤマトにはいたくないので』と言って辞めていきました」

ヤマト社員に配布された「外部労働組合に対する自衛策」についての通達書
ヤマト社員に配布された「外部労働組合に対する自衛策」についての通達書
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首都圏でDM便ドライバーとして働いていた40代女性は、配置転換を打診されたものの、それを蹴って1月末で退職したという。

「今さら受付業務や荷物の仕分けに回されても困ってしまうし、収入も減ってしまうから転職することに決めました。基本給3ヶ月分の慰労金ももらえることだし、しばらくゆっくり転職活動をします。同じように辞めたパート社員の中には『やっとヤマトから解放された』と話す人もいましたね」

ヤマト運輸は1日、今回の契約終了に対して自社のホームページに「当該業務を支えていただいたすべての皆さまに、改めて心から感謝を申し上げます」と記したが、退職した人たちの声を聞くと、決してきれいな幕引きとはいえないようだ。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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