やりたいことがたまたま伊根にあっただけ
京都市内のサラリーマン時代と、伊根に移住してからでは、どんな心境の変化があったか聞いてみた。
「サラリーマン時代は家と職場を往復して、休日を待つという生活でしたが、伊根に来てから心に余裕ができましたね。好きなことを仕事にできて、やりたいことを本気でやっているので、ストレスがないというか、余計なことを考えなくなりました」
大学卒業後、市内で一般企業に勤めたのは回り道だった?
「いや、全然。サラリーマンの経験で日本の社会の常識を学べましたし、むしろよかったです。今はSNSなどで、仕事や生活が多様化して『サラリーマンだけが普通の生き方ではないんだ』というのがわかる。
時代は変わっているんだなと思うし、新しいこと、やりたいことに挑戦しやすくなっていて、たまたま僕もその波に乗っただけなのかもしれません」
現在32才、独身だが「いつかは家族を持ちたい、とは思いますが、今は女性関係で悩んでいる時間がないです(笑)。やらなきゃならない仕事がいっぱいあって、それが先で」と、婚活するのはもう少し先になりそうだ。
移住したいと考えている方にアドバイスをもらった。
「自分の道を貫く人間は格好いいと思うので、やりたいことがあるなら動いてみて!と、背中を押したいです。動いてみて初めて起こるイベントって絶対あると思うから。
僕も『伊根に住む』って言ったら、周囲に『どこ?』『そんな田舎で生活していけるの?』などと言われましたが、やりたいことがたまたま伊根にあっただけで、『移住』という感覚はあまりなかった。転職した、という感覚に近いかな。
やりたいと思っていたことを実行したら、いつの間にか世の中が『移住推し』になっていた感じ(笑)」
地域に溶け込む秘訣はあるか、聞いてみた。
「移住先には以前からの社会があり、溶け込むにはまずその場所の常識を知る必要があります。地域の歴史や習慣などを調べて、住民と信頼関係を築いた上で、少しずつ自分を出して、はみ出していけばいいんじゃないかな」