「世の中が元気になるなら、なんだって」
1994年にスタートし、以降は新年の恒例となった集英社の元日新聞広告が、今年も主要新聞各紙に掲載された。
これまではモデルの本田翼さん、作家の北方謙三さん、バレーボール選手の石川祐希さんといった著名人が華やかに広告を飾る形式も多かったが、今年2024年元日はあえて神田神保町の社屋からコピー入りの巨大な幕を垂らすだけのシンプルなデザイン広告に。
そのキャッチはコピーは「エンタメ、世のため、君のため。」――。
この宣伝広告を担当したのは集英社宣伝部・書籍宣伝課の時岡隼さん(2011年入社)と雑誌宣伝課の木田茉由子さん(2016年入社)。ふたりはキャッチコピー作りのプロセスをこう語る。
「デジタルプラットフォーム市場の急拡大やサブスクリプションサービスの浸透により、近年、エンターテインメントの楽しみ方は大きく変化しました。また、AI技術の急速な台頭により、クリエィティブそのもののあり方も揺らぎ始めています。だからこそ、集英社は今一度、クリエィティブとは何か、という原点に立ち返る必要があると考えました。
原点とはなにか、と考えたときに、いつの時代も集英社の最大の武器は“楽しい”であったことに思いいたったんです。読者の“楽しい”を何よりも大切に、そのために自分たちができることの可能性を信じて成長してゆく。集英社としてその強い意志を2024年の初めに打ち出したい。そんな思いからこのキャッチコピーを捻り出しました」(時岡さん)
また、広告をひとつに絞ったのも、今回の元旦広告の特徴なのだとか。
「これまではコミックスや取材誌など、いくつかのジャンルに分けてクリエィティブ(広告)を複数種作ってきたんですが、エンタメの幅が広がっている昨今、今までの枠にとらわれずにいろいろな分野に挑戦したいという想いから、今回はあえてエンタメというテーマ1種に絞りました」(木田さん)
撮影当日は休日の早朝3時半から準備にかかり、日の出を狙って撮影することに。とくに大変だったのが巨大垂れ幕の設置だった。
「総重量が65キロもあり、撮影中に落下すると危険なので、まずは巻いた状態の垂れ幕をいったん地上に置き、屋上からエイヤ、エイヤと人力で引き上げました」(木田さん)
「標語を掲げるという、ある種のアナクロなバカバカしさも含め、あくまでエンタメに邁進していくという姿勢、楽しさを忘れない集英社らしさが表現できれば」(時岡さん)
世の中が元気になるなら、なんだって。
君が夢中になるなら、なんだって。
ワクワクやドキドキは、明日のための原動力。
担当者が意気込んだ、この元日新聞広告。ぜひご覧ください!
文/集英社オンラインニュース班