コレステロールは本当に悪者!?
もう一つ、高血圧の犯人としてまことしやかに言われているのが「コレステロール」です。中でも悪者扱いされているのが、悪玉コレステロールと呼ばれるLDL。血管の内壁に溜まってプラーク(血管内壁のコブのこと)をつくり、動脈硬化を促進していると言われています。
そのため最近は、健康のためにもコレステロールを減らしましょうということが声高に叫ばれています。でも、そんな悪者のコレステロールが、実際には自分の肝臓でつくられているって知っていましたか?わざわざ自分の体でつくっているわけですから、悪者どころか重要な物質だということです。
では、コレステロールの働きをいくつかご紹介します。
①全身の細胞ひとつひとつの細胞膜の原料です。ですから、コレステロールがなければ細胞分裂はできず、新しい細胞がつくられなくなってしまいます。
②性ホルモンや副腎皮質ホルモンなど体の重要なホルモンの材料にもなっています。
③骨の成長には欠かせないビタミンDの原料にもなっています。
つまり、人はコレステロールがなくては生きていけないのです。
そのコレステロールは、70〜80%が肝臓でつくられ、あとは外からコレステロールを含む食品を食べることで補っています。
もし大量のコレステロールを含む食事をしても、肝臓がつくるのを控えて常に同じ量になるように調整してくれます。ですから、きちんと運動をして消費されている限り、食事の摂取がコレステロール値に反映されることはありません。
塩や砂糖の摂取量もそうですが、体に害が及ぶほどたくさん摂ろうとすると、まずくて食べられなかったり、喉が渇くので水を飲んで濃度を薄めようとしたりします。そのように私たちの体はちゃんとバランスを取るためのセンサーが働いていて、何でも摂りすぎることがないよううまく調整しているのです。コレステロールも同様。食事で多く摂りすぎたときは、肝臓が分泌量を抑えて調整してくれているのです。
たしかに動脈硬化の人の血管を調べたとき、血管内壁にベッタリとコレステロールが張りついているのは事実です。でもそれは結果論で、動脈硬化になるような血管だったからコレステロールが修復しようとして集まったのではないか?そういった見解も出てきており、必ずしもコレステロールが高血圧や動脈硬化につながる、とは言い切れない部分もあるのです。