#1
#3

NOの材料となるタンパク質を積極的に摂取しよう

これまで、高血圧を改善するにはNO(エヌオー:血管内で発生し、血管を柔らかくする物質)の分泌を増やして血管を柔らかくすることが不可欠ということをお伝えしてきました。NOは、第1章で紹介した加藤式降圧体操を行うことによって分泌を増やすことができますが、降圧体操の効果を高めるためには、食事でNOの材料をしっかり摂取しておくことも大切です。

ではNOの材料とは何なのでしょう?NOとは一酸化窒素のことで、窒素はタンパク質を構成する要素ですから、NOの分泌を増やすためにはタンパク質の摂取が必須となります。

そもそも、血液を末端まで運ぶ補助ポンプでもある筋肉は、タンパク質抜きでは再生しません。せっかく降圧体操を行って筋肉の質を高めようとしても、材料となるタンパク質が足りなければ効果も半減してしまいます。健康のためにと思ってお肉を避けて野菜中心にすることは、高血圧の原因となってしまうのです。

プリン体は悪者どころか、実は体に必要なもの? 血圧を下げるためにたまにはビールを飲んだほうがいい理由_1
すべての画像を見る

プリン体は悪者どころか、体に必要なものです!

NOと同様、プリン体もN(窒素)を含んでいます。

ビールなどのアルコール飲料のテレビCMには、「プリン体ゼロ」などとうたったものが多く見られます。少しでもプリン体が入っていると痛風になるかのような悪者のイメージですが、本当にそうなのでしょうか?プリン体の名誉回復のためにも次の説明をしておきたいと思います。

そもそも私たちの体は37兆個の細胞からできていて、その細胞の中にはDNAという遺伝情報が描かれた設計図が入っています。そして、そのDNAは、アデニン、グアニン、シトシン、チミンという4つの物質で構成されていて、その配列に違いがあるため、同じ人がこの世に一人もいないのです。

その中のアデニン、グアニンの2つが「プリン体」なのです。ということは、DNAを持つ生物は、半分がプリン体でできているということ。プリン体は、体に悪いどころか非常に大切な物質なのです。

逆に、プリン体をつくる材料が体に入ってこないと、細胞分裂ができなくなりますから、ものすごく早く老化するということにもなるのです。

ちなみに、ビール100㎖に含まれるプリン体は8㎎以下、もやしのプリン体は100g中45㎎、ワカメはプリン体262㎎です。

いかがですか?つまり、もやしはビールの5倍、ワカメは30倍のプリン体を含有しているということ。でも、もやしやワカメを食べて痛風になるでしょうか?このことからも、プリン体が多く含まれている食品を摂取したからといって、痛風になるわけではないことがわかります。

血圧の話と大分ずれましたが、ここまできたら、痛風の予防法もお話しいたしましょう。痛風は、腎臓が健康であれば発症しません。痛風予防としては、血液検査で尿酸値が高めの方は、正常値になるまで毎日水をいっぱい飲んでください。ほとんどの方は、これだけで尿酸値が下がると思います。