さて、Mastodonはどのように発展してきたのでしょうか。
ドイツで生まれたMastodon
Mastodonは2016年に、ドイツで誕生しました。
当時24歳の学生だったEugen Rochko(オイゲン・ロホコ)さんが、Twitterの不可解なアカウント削除や買収の噂をきっかけとして代替する仕組みの必要を感じ、開発に着手。最初のサーバーであるmastodon.socialの運営を開始。この活動には、多くの賛同者が集まりました。
開発・運営費は寄付により支えられ、開発者が世界中から集い、Mastodonは国際的なプロジェクトに成長しました。日本からの貢献者も多く、筆者も個人開発者として参加しています。
mastodon.socialは、開発者自身が運営する旗艦サーバーとして、また新規ユーザーを受け入れる窓口として、現在も人気のサーバーです。
日本におけるMastodonの流行と mstdn.jp
日本での大きな流行は、最初期にMastodonの存在に気付いた一人、当時22歳の学生だったnullkal(ぬるかる)さんの個人サーバーmstdn.jpから始まりました。最初の立ち上げは2017年4月11日。メディアに紹介されて火がつき、数万人のユーザーが殺到します。急激に大きくなったサーバーに対し、さくらインターネットが全面的にサーバー支援し、またドワンゴが運営を支援することとなりました。
その後、合同会社きぼうソフトに運営譲渡ののち、合同会社分散型ソーシャルネットワーク機構へ。2020年7月1日、Sujitech, LLC.のもとへ渡り、現在に至ります。
なおSujitechへの運営譲渡が決定する前に、一度閉鎖のアナウンスがありました。これを報じた記事が大きく拡散。『マストドンはサービス終了した』と、多くの人が認識してしまった経緯があります。
一度誤って伝わったイメージは、なかなか覆せないものです……。
イラスト投稿者の楽園 Pawoo
mstdn.jpの登場からわずか数日後、2017年4月14日にピクシブ株式会社によるPawooというサーバーが立ち上がりました。イラスト投稿者をターゲットとしており、瞬く間にユーザー数世界トップのMastodonサーバーとなりました。
イラスト投稿はTwitterにおいて、さまざまな制限を課されてきたコンテンツです。その不自由な経験から、TwitterとPawooの両方にアカウントを持って『保険をかけた』SNS運用をする利用者が多く見られます。
2019年12月2日、ピクシブ株式会社から株式会社クロスゲートへ譲渡・株式会社ラッセルに運営移管となり、Mastodonとしては異例の広告表示を行うに至りましたが、現在もユーザー数世界一のサーバーとして賑わっています。
ニコニコ動画の friends.nico
株式会社ドワンゴもMastodonへの対応は非常に素早く、2017年4月19日にfriends.nicoが設置されました。
ニコニコ動画からつながり、Mastodonを知った人も多かったようです。mstdn.jp、Pawooに次ぐ大規模なサーバーとして人気を博しましたが、2019年4月28日に運営終了となりました。
公式な後継サーバーはありませんが、friends.nicoの運営スタッフによるbest-friends.chatというサーバーが開設され、多くのユーザーが移り住んでいます。分散型のMastodonは、たとえ一つのサーバーがなくなっても、新たにサーバーを立てたり既存のサーバへ移ることで活動を継続できる、特定の運営に縛られない強みがあります。