老けない要素として欠かせないビタミンB群

さてビタミンやミネラルを豊富に含む主食を摂りたいなら、玄米やベーグルがお勧めだ。「乳製品を含むことの多い食パンやクロワッサン、ロールパンなどと比べて、ベーグルはシンプルな素材で脂質が低め。そのぶんミネラルや食物繊維がたっぷり含まれています」(望月氏)

中でもビタミンB群は、老けない要素として欠かせない。ビタミンB1、B2は糖質の代謝に必要で、ビタミンB6は脳の老化防止に効く。

「ビタミンB1、B2は穀類の胚芽(米ならヌカ)部分に含まれています。これらが不足すると、糖をエネルギー源として活用できません。活用できなければ疲労物質が体内に蓄積され、疲労感が強くなります。疲れ目が進行したり、神経に障害が起きたり、心臓の働きも悪くなります。3~4食に1回でも精製された白いパンや白米でなく、表皮や胚芽を含む、ふすまパン(全粒粉やライ麦を使用したもの)を食べるといいでしょう」(山岸氏)

米を抜くことにはメリットとデメリットがある…老けない最強の主食ベスト8と老ける主食ワースト3_4
『八訂食品成分表2023』(女子栄養大学出版部)可食部100gあたりのB1、 B2、ナイアシン当量、 B6、 亜鉛の量をもとに独自に作成

そこでビタミンB群の量を中心にランク付けした。1位から4位の「玄米」「ベーグル」「ライ麦パン」「発芽玄米」はB1をはじめとしたビタミン、食物繊維、ミネラルなど、糖質以外の栄養素をしっかり含んでいる。それでいてカロリーや塩分も高くないのだから、老けない主食の代表格といえるだろう。

それでは塩分が高くなりがちな麺類はどうだろうか。板倉医師は「パスタと蕎麦」を勧める。
「パスタが食後の血糖値上昇をもっとも抑えるという報告があり、老けないといえます。蕎麦もいいです。白米、うどん、食パンと比べてGI値(食後血糖値の上昇度合いを示す指標)が低く、またGL値(一食分の量を踏まえた炭水化物の質と量を示す指標)も低いので食後の血糖上昇を抑えられます。メタボの人に蕎麦は好ましい食品といえますね。私も会食などで食べすぎたと思った次の食事では、蕎麦をいただきます」

蕎麦には肥満予防のランキングで第1位の通り、食物繊維がたっぷり。さらに食物繊維と似た働きをもつタンパク質「レジスタントプロテイン」の存在もある。

「これが腸内環境を整えてくれるんです」と、望月氏。「不要な脂肪分やコレステロールの排泄を助けてくれる働きが期待できます」

米を抜くことにはメリットとデメリットがある…老けない最強の主食ベスト8と老ける主食ワースト3_5
『八訂食品成分表2023』(女子栄養大学出版部)可食部100gあたりの食物繊維総量をもとに独自に作成

また蕎麦粉に含まれるルチンは抗酸化作用があり、毛細血管を強くする働きがある。白いパンに使用される小麦粉と違って胚芽部が挽きこまれているため、ビタミン含有量も多い。だが蕎麦を茹でると、そういった水溶性の栄養素が流れ出てしまう。だからゆで汁(蕎麦湯)を飲んだほうがいい。

「山椒やわさびなどのような薬味を入れてスープとして飲んでもいいですが、麺つゆを蕎麦湯で割って(薄めて)、つゆとして飲むのが手軽ですね」(望月氏)

麺の選び方も重要。麺の外袋に表示される原材料名は、含有量の多いものから記載されている。つまり「小麦粉」が先に記されているものは、蕎麦粉より小麦粉の含有量が多い蕎麦ということ。蕎麦の効能を求めるなら「蕎麦粉」が先頭に書かれているものを。

一方で、蕎麦のつゆには塩分が多いため、飲み干さないように気をつけたい。塩分は体のむくみにつながって心臓や血管、腎臓の老化を進める。また蕎麦は麺類の中で栄養素が豊富で疲労回復に役立つ反面、タンパク質などの不足する栄養素もある。かけ蕎麦ではなく、具材で補うようにしよう。

日本臨床栄養協会評議員で管理栄養士の遠藤惠子氏は「けんちん蕎麦」を提案する。
「大根、人参、ネギなどの野菜を一緒にゆでると野菜のうまみが出て、つゆが薄味でもおいしく食べられます。鶏肉や山菜を入れたり、卵を落として“月見蕎麦”にすればタンパク質も摂れて栄養バランスが整います」

大根おろしやとろろ、なめこといった具もいい。

「蕎麦のルチンは毛細血管を強くしますが、大根おろしやとろろに豊富に含まれるビタミンCも血管を強化する働きがありますので、一緒に摂ることで相乗効果が期待できるでしょう。また、これらには消化酵素が含まれるため、具に取り入れることで体に負担を与えない一品に。大根おろしの上になめこをのせれば、食物繊維が一層多く摂れて腹持ちが良くなりますし、老けない栄養素であるビタミンB群も十分摂取できますね」(望月氏)

もっと簡単にワカメや海苔のトッピングでも。

「家庭では『ふえるわかめ』や『きざみ海苔』を使って手軽に追加できますね。外食で食べる際はかけ蕎麦より、ワカメ蕎麦にすることで食物繊維が加わり血糖値の上昇を抑えることができ、またカルシウムやマグネシウムなどのミネラルも同時に摂取することができます」(遠藤氏)