老けない主食ベスト8

そこで「老けない主食ベスト8」では、糖質の合計値が少ない主食からランク付けをした。1位から3位までを占めるのは、米。1位の玄米が良いのは想像できるだろう。実は2位の発芽玄米もそれに負けず劣らず、強力な老けない力をもつ。代表的な成分は天然アミノ酸の一つである「GABA(ギャバ)」だ。ギャバは血中コレステロールや血糖値、血圧の上昇を抑える効果があり、血管を衰えさせない働きがある。健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏が説明する。

米を抜くことにはメリットとデメリットがある…老けない最強の主食ベスト8と老ける主食ワースト3_2
『八訂食品成分表2023』(女子栄養大学出版部)可食部100gあたりの利用可能炭水化物をもとに独自に作成。麺類は「生」で比較

「可食部100gあたりで比較すると、製品にもよりますが白米のギャバ量が1㎎に対して、玄米は3㎎、発芽玄米は10㎎も。ギャバにはストレス軽減作用や脳細胞を活性化する働きがあります」

米の一粒には糖質以外にも、食物繊維やタンパク質、ビタミンなどがバランスよく含まれる。米中心の食生活をする成人は飽和脂肪酸や糖分の過剰摂取が少なく、カリウム、マグネシウム、鉄、葉酸、食物繊維の摂取量が多い傾向があるという。よく噛むことで満腹感が得られやすく、血糖値の上昇も緩やかになる。実際に人を対象とした実験で白米や玄米を取り入れた食事をすると、満腹感と満足感が持続しやすいこともわかっている。

「パンと違って米はいろいろな食材(野菜、大豆、肉、魚など)と相性が良く、自然とバランスが整いやすい面もあるかもしれません。また、米は生鮮食品で、食べるためには水を加えるだけのシンプルなもの。塩分やコレステロールはゼロです」(望月氏)

糖尿病予防の確かなエビデンス

さらに米はタンパク質の栄養価が高い。主食といえば炭水化物で、肉や魚といえばタンパク質というイメージがあるが、主食にもタンパク質が含まれる。米はタンパク質を評価する指標の一つ、アミノ酸スコア(必須アミノ酸の配合バランスを示す)が優れているのだ。

「人のタンパク質を構成するアミノ酸は約20種類、体内で生成できない必須アミノ酸は9種類あります。ある食品について必須アミノ酸の含有量がどれくらい満たされているかの指標をアミノ酸スコアと呼びますが、それでみると小麦(薄力粉)が44点に対して、米は65点。パン、麺の原料となっている小麦は、米よりも低いのです」(望月氏)

必須アミノ酸のうちどれか一つでも極端に少ないと、そのレベルまでしかタンパク質を作れなくなる。9種類の必須アミノ酸のバランスがいいことでタンパク質がスムーズに生成されるのだ。

欠点がなさそうな米だが、注意点はある。生鮮食品ということは、言い換えると魚や肉、野菜と同様に鮮度が命。米は日が経つにつれ水分や香り、味わいが減り、品質が落ちていく。

「米に含まれる脂肪酸が酸化し、酸化したものを食べることで体がさびやすくなる」(望月氏)とのこと。できるだけ精米してから一か月以内に食べきりたい。特に秋に出回る「新米」は、ツヤ、粘り、香り、甘みを楽しむためにも早めに味わおう。

ちなみに新米は収穫から一年以上経った古米に比べて水分量が多く、粘り気が強いため、炊いたごはんそのままや、卵かけごはんで。反対に水分量が少ない古米は、炊き込みごはんやチャーハン、ピラフなどでいただくといい。

もう一つ、米を食べる際の注意点として、女性は米飯摂取が多くなるほど糖尿病発症の危険性が上昇するという国内の研究報告がある。1食150g(茶碗一杯分)を目安に、食べすぎないように気をつけたい。

新米→炊いたごはんそのまま、卵かけごはん
古米→炊き込みごはんやピラフ、パエリア、チャーハンに

4位、6位、8位に位置するパンにも、食物繊維が豊富という良さがある。米にも多く含まれるが、パンの食物繊維もまた体内に吸収されず、余分な栄養素を排出したり、血糖値の上昇をゆるやかにする働きがある。日本ポリフェノール学会理事長の板倉弘重医師(東京アスボクリニック名誉理事長)によると、「野菜に含まれる食物繊維より、米、小麦、大麦由来の食物繊維のほうが老けないために重要」という。

米を抜くことにはメリットとデメリットがある…老けない最強の主食ベスト8と老ける主食ワースト3_3

「穀物由来の食物繊維には、糖尿病予防の確かなエビデンスがあるからです。糖尿病は、見た目も体内も老化を進めてしまいます。米なら白米より玄米、パンなら白いパンより全粒粉やライ麦のパン、麺なら蕎麦が食物繊維は豊富です」

主食(糖質)を食べすぎてしまうと、血中のあまった糖(ブドウ糖)が脂肪細胞に取り込まれて太る。食事中の食物繊維の割合を増やすことは、血糖値の急上昇を抑えることと糖質摂取量を減らすことの2点から肥満予防に有効なのだ。

「食物繊維が豊富な主食ベスト8」を次ページに挙げよう。

また、炊きたてごはんはおいしいが、ごはんを冷まして食べると、消化しにくいでんぷん「レジスタントスターチ」が増えるというメリットがある。でんぷんは通常、すぐに胃や小腸で消化されて血糖値を上げてしまうが、レジスタントスターチは胃や小腸で消化されずに大腸まで届く。

つまり食物繊維のような働きがあって血糖値の上昇がゆるやかになるのだ。「おなかがすきにくくなり、ダイエットにお勧めです。レジスタントスターチは5度くらいの冷や飯で多く出現します」(望月氏)

白米だけではない。麺類やじゃがいもも、冷やすことでその効果が望める。