ゲーム理論を参考にすれば定着したルールを変えられる
定着したルールを変更させるためには、罰則を設けて命令したり、「こうした方が効率的なんですよ」「みんなのためになるんですよ」と口を酸っぱくして説得したりといった方法だけでは限界がある。逆に人間の利己性を利用した方がいい。
これまでのやり方を変えた方が自分自身の利益になる、また身近な人々との長期的な関係をよい状態で維持する、ということを経験させ、実感させる方が効果的なのである。
昭和の駄菓子屋のよい知恵がある。まだジュースの容器が瓶だった頃、飲み干した空き瓶をポイ捨てされないように、返してくれたら10円返金する、というものである。子どもたちはその10円でさらに駄菓子を買ったりゲームを楽しんだりした。いわゆるディポジット制度みたいなものである。
違反者に罰を科すことによって行動を改めさせようというのが、法律や条例などの常套手段であったが、前述したようにそれは監視・摘発をする人員を要するうえに、隠れて違反されることを止めることができないので不効率だ。
それよりも違反をしない方が自分の具体的な利得になるというシステムを作る方がよいのである。たとえば家電の不法投棄が社会問題になっているが、それは廃棄の時に高い負担金が課せられるからである。それよりは、新製品購入時に処理費用を一緒に徴収する方がマシだろう。
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夫婦同姓が婚姻の条件になるのはいまや日本のみである
「自分の娘がもし殺されたら司法になんか委ねたくないね」
ルールとは思考停止の遵法精神を要求するものではない












